【Inswatch】160 <8/25/2003>

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【7】窓の外は立食いそば(無謀な新米乗合代理店の日常)    新越 博之

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(8)生命保険相談所って知っていますか?

◇昭和36年から設置されているんです。  

前回(特別編)で記述した「生命保険相談所」について紹介させて頂きます。 消費者契約法や金融商品の販売等に関する法律ができる遥か前に、生命保険協会 は契約者からの苦情(や相談)の申し出の窓口として「生命保険相談所」を設置 していました。

◇生命保険相談所に苦情を申し出ました。  

相談者は、在住県の相談所に事前に電話を掛け、アポイントを取り付け、会社 に休暇届を提出し、指定された日時(当然、平日)に旅費と時間をかけて出向き ました。申出が済んだ午後3時、「聞いていたのと全然違っていた、10円玉が無 いので帰宅してからFAXします。」と、とてもがっかりした様子で連絡が入り ました。

◇保険相談所の対応の実態  

ご本人からの報告(FAX文書)は次の通りでした。
・自分が名刺を出して挨拶したのに、担当者は最後まで名刺を出してくれなかっ た。
・最初に、「トラブルの相談には乗るが、法律的には何も権限がない。」と念を 押された。
・担当者には真剣に聞いてもらえず、この場をあしらっておこうという態度で扱 われた。
・1ヶ月経っても解決しない場合には、自分で裁定審査会に申出をしなさいと言 われた。
・裁定審査会でも話し合いが決別した場合には裁判になりますと言われた。
・保険相談所は書類の取り寄せや手続きの関係の段取りをする程度の場所だと言 われた。

◇保険相談所規程にはどう書かれているか?  

規程の第2章の第5条には次の通り記載されています。
(2)保険契約者等から会社(協会の社員である生命保険会社)の生命保険に関 する苦情の申出を受けたときは、今後の手続きの概要等について説明を行うとと もに、相手方である会社または代理店などに対し速やかに連絡し、当事者間の意 見の調整を図るため、必要に応じて双方から事実の説明または資料の提出を求め、 更に双方に対して必要な助言あるいは和解のあっせんを行い、解決の促進を図る。
(3)前号のあっせんにもかかわらず、相談所が苦情の申出を受けたときから原 則として1ヶ月を経過しても当事者間でなお問題が解決しない場合で、保険契約 者等から紛争の裁定の申立てがあったときは、裁定審査会に付託して裁定の手続 きを行う。

◇これからどうなるのか?  

相談者があまりに意気消沈している様子なので、電話で「何よりも保険相談所 に苦情の申出を行ない、それを受け付けてもらった事実が大切なのです。」とア ドバイスしたのですが、ご本人は担当者の態度にショックを受け、やる気を失い かけていました。担当者を非難するのは簡単ですが、それは生命保険相談所に出 向いて苦情を申し出た目的とは違います。申出の手続きが完了したのだから、当 初の目的を忘れず根気強く冷静に申立てを主張しましょうと励ますのが精一杯で した。相談者のやる気を殺いでしまいかねないことに疑問を抱いています。   

(アカラクシア(有)マネージャー、カスタマーサービス)
http://www.acalax-ia.co.jp