【Inswatch】159 <8/18/2003>

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【4】代理店のための生命保険入門(29)            坂本 嘉輝

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生命保険の基本的な仕組み(7)

契約者の取り分の分配をどうするか  

皆さん、お盆休み、ゆっくり休めたでしょうか。なんとも涼しいお盆休みです ね。予定利率の引き下げ、保険金額の削減のための保険業法改正が国会で成立し、 マスコミももはや関心がなくなってしまったのか、関連する記事もめっきり少な くなりました。8月末にはいよいよ法律も施行されますが、この機会に改めて落 ち着いて、法律の内容を確認しておいては如何でしょう。

◇儲けは会社と契約者で山分け  

さて、前回は責任準備金の計算の仕方について補足説明し、これで保険会社が 儲かったか損したかが判断できる、その結果の儲けを誰にどうやって分けるか、 損を誰がどうやって負担するかが次の問題だ、というところまで話しました。  

儲けは会社と契約者で山分けします。契約者には分けないで、全て会社が儲け を自分のものにしてしまう。そんな契約を無配当といいます。契約者にも分ける のを有配当といいます。  

会社の取り分はさらにそれを株主、役員、従業員その他にどのように分配する か、ということになりますが、これは一般の会社でも同じことです。

◇契約者の取り分の分配の仕方  

契約者の取り分を、何時どのように分配するか。毎年の契約者の取り分を生き 残っている契約者できれいさっぱり山分けしてしまって何も残さない、という方 法もあります。今年の儲けは今後、毎年一定額ずつ生き残っている契約者で分け よう、という考え方もあります。この場合、今年の儲けは今後何年にもわたって 少しずつ分配されるので、分配されないで残っている分があります。さらに極端 な考え方として、儲けは分配しないで会社にとっておき、何年か後、最終的に契 約がなくなるときにその最後の契約に分けてあげよう、という考え方もあります。 このように考えると、今年の儲けは当分使われないで会社に残ることになります。

バブルのしばらく前から、契約者の取り分はできるだけ早く、できるだけ全部 きれいさっぱり分配してしまうのが正しいやり方だ、という考えが多くの人に信 じられるようになりました。そのため、いざバブルがはじけてみると、会社の体 力は急速に衰えてしまいました。もしあの時、毎年の儲けをもう少し会社の中に 溜め込んでおけば、と思っても後の祭りで今更どうにもなりません。生命保険会 社の破綻、今回の保険金額削減の業法改正も、元はといえばこのような信仰も一 つの原因となっている、ともいえます。

(生命保険アクチュアリー、(株)アカラックス代表取締役) http://www.acalax.jp