【Inswatch】117 <10/28/2002>

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【8】代理店のための生命保険入門(19)            坂本 嘉輝

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約款と重要事項の説明

◇商品の内容理解は約款から 

前回、損保の募集人試験のことを書きました。先ずその結果報告から。募集人資格試験のほうは、無事合格しました(やれやれ良かった)。ブローカー試験の方は、やはり不合格でした。(ヤレヤレまたやり直しだ)。とりあえず、募集人資格の方は取れたので、これで大きな顔をして損保の販売ができます。 

これを利用して、パンフレットや約款や、その他の規定、それから商品説明資料等が手に入ると思います。それを使って具体的に損保商品の勉強をして、来年のブローカー試験に向け、準備しようと思います。  

約款、という言葉に奇異の念を持たれた方もいるかも知れません。私は生命保険会社に勤めていたこともあり、商品の内容の理解は先ず約款から、と考えています。当社の社員もそれを当然と考えていて、何か不明な点があると先ず約款を見ます。(とは言っても約款にも書かれていないこともあるので、そういう時は保険会社の担当者に電話して教えてもらいますが) 

お客様に保険を勧めるとき、どの会社のどの商品を勧めようか、考えるときにもうパンフレットと約款が必要になります。また、最近では保険料がいくらになるか、保険設計書のパソコンシステムがないとまったく計算できないので、取り扱っている保険会社それぞれの保険設計書システムが必要になります。

◇「超保険」への関心と約款請求 

そんなわけで、InsWatch 113号(2002年9月30日)に中崎さんが東京海上(あるいはミレア)の超保険について書いた記事を読んで、早速その商品について見てみようと思いました。 

一応、当社も東京海上の代理店をしているので、担当の営業社員に商品の資料を送ってくれるように依頼しました。当然、商品のパンフレットと約款、それ以外にもいろいろな説明資料が送られてくるかもしれないな、と思っていました。しばらく待たされて、送られてきたのはパンフレットだけでした。仕方なく、約款もほしい、と再度依頼して、またしばらく待たされてようやく一部だけ約款を送ってもらったのですが、それまで1ヵ月くらいかかってしまいました。  

最初、資料を送ってもらいたい、といったとき、当社はまだ新米代理店なので、超保険の販売資格はありませんよ、と言われましたが、それが関係しているのかもしれません。でも、パンフレットを見ても新聞の広告を見ても、『「ご契約のしおり・約款」をご覧下さい』と書いてあるのに約款が中々手に入らないのはどういうことだろうな、と思いました。  

その後、Ringの会から東京海上へ、約款の取り扱いについて質問してもらって、その回答が届いたのですが、その中に、『約款と言うのは保険契約に関し、重要事項等を説明するのに使うもの』と言う記述があり、ようやく理解できました。契約の申し込みの際、契約内容について重要な事項をいくつか説明するのですが、うるさいお客さんがいて、細かいことを四の五の質問してきたらそれに答えるために使うのが約款だ、ということでしょうか。素直なお客さんで、代理店の言うことをハイハイと聞いているだけのお客さんには約款は必要ない、ということでしょうか。

◇約款に基づく商品説明はレアケースか? 

私などは、保険契約の契約内容は約款に書かれている、しかし、その約款はあまりわかり易くは書かれていないし、汎用に作られているので個々の契約者には無関係な部分も、当面必要ない部分も多く含まれている、そこで約款のうち、その契約者に必要な重要事項だけを取り出して説明する、これが重要事項の説明だと思っていましたから、話がうまく伝わらないのは当然かもしれません。  

これも前回の続きの、生保と損保の違いなのでしょうか。それとも生保の販売でも、約款に基づいた商品説明などと言うカッタルイやり方をしているのは当社のようにチョット変わった代理店だけで、約款なんて見もしないで契約を募集する、というのが一般的なのでしょうか。 『お金を払って、さらにその上、こんな小さな字で印刷してあるのを読ませんのかよ』、などという契約者の場合、『わかりました、代わりに読んどいてあげますから、その代わり何かあったら必ず連絡してくださいよ』、というのも代理店の重要な仕事なのではないかな、と思いますが。

(生命保険アクチュアリー  (株)アカラックス代表取締役)