【Inswatch】112 <9/23/2002>

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【9】代理店のための生命保険入門(18)            坂本 嘉輝

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損保の資格試験でカルチャーショック味わう

◇損保の募集人資格も受験する羽目に 

前回に引き続き、試験の事を書きます。 

当初、生命保険の代理店をするつもりではじめたアカラクシアですが、その後、成り行きで損害保険のほうも募集人資格をとって代理店として登録することになりました。 

はじめは7月の試験を受ける予定で、その手続きもしたのですが、私ともう一人のスタッフはたまたま当日は別件の用事ができてしまい、試験を受けることができませんでした。(残りのスタッフは全員無事受験し、合格しました。)そのため、再度受験の手続きをして、9月4日に試験を受けました。

◇言葉の使い方での違いの大きさに驚く 

教科書を読んでみて、いまさらですが生保と損保の違いの大きさに驚きました。基本的な保険、という仕組みの考え方、基本的な言葉の使い方がかなり違っていて、慣れるのに時間がかかりました。 

私の場合、生保を知った上で損保の勉強をしたわけですが、これは、損保を知った上で生保の勉強をしようとした場合でも同様に起こる、一種のカルチャーショックだと思います。

◇被保険者 

損保における被保険者、という概念の重要性、契約(商品)の内容を理解するために、誰が被保険者なのかをまず第一に考えなければいけない、とか、それとあわせて被保険利益は何かを考える必要があることなど、目を見開かされる思いがしました。 生保では一般に被保険者、というのはあらかじめ決まっている個人であって、被保険利益のことを考えることは、(契約当初に保険金額の妥当性を検討する場合を除いて)あまりありません。 

自動車保険など、事故が起こってから、さて、被保険者は誰だろう、というのとは全く違った世界です。

◇保険金額と保険金 

『保険金額』という言葉と『保険金』という言葉が明確に区別されているのも大きな違いです。 

生保では保険金額、というのは保険金の額、と単純に考えていて、とくに不都合はありません。損保では保険金額を元にして、損害の額に応じて保険金を計算するので、『保険金』の額と『保険金額』とは全く別の概念です。こんな基本的な言葉ですら使い方が違う、というのは驚き以外の何物でもありません。困ったことに、これらは基本的な言葉ですから、生保の人、損保の人はそれぞれそのような言葉遣いを当然のこととして、いちいち説明しないで使ってしまいます。そのため、簡単な説明でも、違った立場で違った意味で理解している人間にとっては、全く理解不能な摩訶不思議な説明になってしまいます。

◇損保のブローカー試験も受験 

実は、損保の募集人試験に続いて、9月9日には損保のブローカーの試験も受験しました。これは、昨年も受験して不合格になったものの再受験です。 

受験のために大量のテキストを購入し、一生懸命理解しようとしても、何がなんだかさっぱりわかりません。全体的な見通しがないまま、専門的な詳しい解説を聞いているようで、それも基本的なことが説明されてあったり省略されていたり、なんとももがき苦しむような勉強でした。ようやく無理やり一つの商品について理解したような気になって、次の商品の勉強にかかると、あっという間に前に勉強した商品とごっちゃになって、何がなんだかわからなくなる、という具合でした。そのような苦労の末、いよいよ試験問題と向かい合うことになるのですが、これがまた、大変な試験でした。

◇言葉が理解できない 

教科書は何とかがんばれば理解できた(ような気になった)のですが、この試験問題は理解できないのです。日本語で書いてはあるのですが、何を言っているのか全く理解できない、そのためどのように解答したら良いのかもわからない、という具合です。問題はいわゆるマルチョイ(マルチプルチョイス、多項目選択式)の、あっているものをいくつ選べとか、違っているものをいくつ選べとか四角の中に入る言葉を選択肢の中から選べとか言うものですからむずかしくはないのですが、言葉が理解できないものですから、無理やり解答欄に記号・番号を記入はするのですが、それが正しいか間違っているか、まるで見当もつかない、という塩梅です。 

ブローカー試験の教科書だけでなく、もっとちゃんと損保商品の勉強をして、損保の基本的な言葉遣いを理解した上で、教科書に書いてないで省略してあると思われる当然と思われているような知識を身に付ければ、このような問題は解決するのだろうと思いますが、それに気がつくのがちょっと遅かったかもしれません。来月の結果発表を待ちたいと思っています。

(生命保険アクチュアリー (株)アカラックス代表取締役)