【Inswatch】89 <4/15/2002>

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【8】代理店のための生命保険入門(13)            坂本 嘉輝

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生保代理店ビジネスを開始した経緯

◇保険会社からコンサルティング会社へ  

昨年4月から、このInsWatchに掲載をさせてもらってもう1年になります。  当時やっていた、アイエヌジーの再保険のサービス会社はクローズすることは 決まっていたものの、その後どうするか、どうなってしまうのかはっきりしない 状況での連載のスタートでした。  

その後、前の会社の一部のスタッフでコンサルティングの会社を始めました。  その仕事も経験があるわけでもなし、まったく手探りでやってきました。いつ まで持つか、と思って始めたのですが、何とか今まで生き長らえています。  

このコンサルティングの会社では、生命保険と生命保険数理に関するコンサル ティングのサービスを、生命保険会社、その他生命保険にかかわる人々(消費者 も含めて)に提供したい、と思っています。

◇生保の営業現場の生の姿を見てみたい  

今まで生命保険会社の中にいて、主に数理・決算関係の仕事あるいはシステム・ 総務、あるいは経理をしていた人間が、必ずしもその分野に限定しないでどんな サービスを提供できるか、どんなニーズがあるのか、と思って始めた仕事です。

InsWatchへの連載も、これをきっかけとして様々な代理店の皆さんと知り合い、 今までの私達の経験や知識を使って何かお手伝いできることはないか、と思って いました。その中で、今まで私達の経験することのできなかった生命保険の営業 のナマの姿を見てみたい、知ってみたい、という期待もありました。

◇生保代理店ビジネスへの興味  

私の努力不足・表現力不足もあると思いますが、思っていた以上に読者の皆さ んからの反応が得られず、このような虫のいい考えはうまく機能しませんでした。 そこでこの際、思い切って自分達で実際に代理店としてビジネスをやってみるの が一番手っ取り早いか、と思うようになりました。自分達で代理店をやれば、代 理店の抱える様々なテーマや、問題意識を実感することができます。今まで分か らなかった新しい発見も色々あるのではないか、と思います。  

保険会社の代理店担当の営業社員や、営業のベテランの人たちに言わせると、 保険募集のビジネスで成功するためにはしっかりしたマーケットを持っているか、 卓越したセールススキルを持っているか、そのどちらかがなければ成功はおぼつ かない、ということのようです。私のところは、当然、これといったマーケット があるわけでもなく、セールススキルなどこれから1から勉強するところです。 それでも、世のため人のため自分自身のため、保険という制度が本当に社会のイ ンフラストラクチャーとして役に立っている、役に立つ制度だ、という確信があ り、この仕事にまじめに取り組むつもりがあれば、しばらく準備のための時間は かかるかもしれないけれど、山ほどのぼろ儲けをしようと思うのでなければ、な んとかうまくビジネスとして軌道に乗せることはできるのではないか、と思って います。

◇自前で代理店会社設立へ  

思い立ったが吉日で、早速、代理店を設立する手続きを開始しました。今のコ ンサルティングの会社の子会社を別途設立し、これを生命保険の代理店とします。 今までいくつかの会社の設立にかかわってきましたが、会社の設立の手続きは専 門家に任せてきました。今回は、何事も経験だ、ということで、会社の設立の手 続き(類似商号がないかどうかチェックして、定款を作って、公証人に認証して もらって、法務局に登記の手続きをする)は全て自分たちですることにしました。  

色々な保険会社の取り扱いの違いを知りたいので、大胆にも最初から乗り合い 代理店を目指します。いろいろ知り合いに声をかけ、当初7社乗り合いを目指し ましたが、結局のところ、5社乗り合いの形でスタートすることになりました。 (4月10日の代理店精査会にかけられる予定です)

◇ビジネス開業の実況中継  

これからしばらく、InsWatchの紙面を借りて代理店ビジネス開業の実況中継を させてもらいたいと思います。プロ代理店の皆さんにはあたりまえ過ぎてつまら ないようなことを、私たちがどのように珍しく新鮮に感じるか、皆さんにとって は面白い発見になるかもしれません。確率論の話や金融審議会の話よりもう少し 面白い話になるかもしれません。  

とりあえず、一般課程試験を受験しました。大学を卒業して就職してすぐに、 その当時の初級課程試験を受験してから25年ぶりの受験です。こんなことでも なければ一般課程のテキストを読み直す、などということもないので、新鮮な気 持ちで勉強することができました。教科書も問題も、25年前とほとんど変わっ ていないようで、こんなに変わらなくてもいいのかな、と思うくらいでした。テ キストの一部に明らかに間違いと思われる説明もありましたが、これについては 次回以降に改めてお話しましょう。                        

(生命保険アクチュアリー