【Inswatch】72 <12/17/2001>

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【6】代理店のための生命保険入門(9)            坂本 嘉輝

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最近の生損保の動向へのコメント  

今回から金融審議会の中間報告に対するコメントを始める予定だったのですが、 前回以降、朝日生命と東京海上から朝日生命の営業部門譲渡の発表があり、三井 生命が三井住友銀行、三井住友海上火災、住友生命と提携するという発表があり、 大成火災、日産火災、あいおい損保(の内の旧千代田火災)の再保険取引による 損失と大成火災の破綻、各社の上半期の業績報告、とニュースが目白押しで、と ても落ち着いてのんびり中間報告に対するコメントなどしている気分ではありま せん。(師走の気ぜわしさもそれに拍車をかけているかもしれません。)今回は そんな訳で、これらに関する取りとめのないコメントになってしまいます。

◇朝日生命の営業部門譲渡とその行方  

朝日生命は営業部門を東京海上に売却すると発表しましたが、その内容は、売 却の値段はまだ決まっていない、来年になってから決めるというもので、その間 のマーケットの推移によっては、本当にうまく値段が折り合えるのかなという気 がします。また来年3月までには併せて基金も積み増して、その後再来年の3月に 向けて東京海上あんしん生命と合併する(もしかするとその直前に株式会社化す る)ということのようです。どうしてこんな面倒くさいことをするのかなという のがよくわからないのですが、多分何か理由があっての事でしょうから年末年始 の休みにでもゆっくり考えてみることにしましょう。  

三井生命は三井住友グループの金融会社4社の全面提携を発表しましたが、何 とも中味のないもので、三井生命の財務状況のテコ入れの具体策は残念ながら何 一つ入っていません。これで本当に大丈夫なのかなと思ってしまいます。

◇上半期の業績報告と大変な状況  

そんな中、上半期の業績報告が発表されたのでちょっと見てみると、案の定朝 日生命も三井生命もかなり大変な状況になっているようで、困ったものだと思い ます。(この上半期の業績報告もまとめてじっくり見てみたいと思っています。 生保協会のホームページから各社の発表資料がまとめて取れるようになっていて とても便利です)

◇損保3社の再保険取引による損失  損保の方は大成火災、日産火災、あいおい損保が再保険取引に関し、9月11日 の同時テロのために各社それぞれ約1,

000億円のロスをこうむったということの ようです。マスコミの記事では各社のトップは「知らなかった」と言っているよ うですが、そうだとすれば何ともお粗末な話です。もしそうではないにもかかわ らず「知らなかった」で通すしかないということであれば、事態はもっと深刻か もしれません。  

損保協会は9月11日の同時テロの支払い負担は全社合計で千数百億円と発表し ていますが、これは上記の3社がそれぞれ約1,000億円というのとつじつまが合い ません。何か別の計算をしているのでしょうか。  

こんなことで再保険という取引自体が何となく悪者にされ(金融庁は損保会社 の再保険取引を全部チェックするとか言っています)、再保険を推進しようと考 えている私としては釈然としない話です。  あれこれネガティブな話ばかり書きましたが、これで私の inswatch への寄稿 の今年の分は最後です。年が明ければ、また朝日生命の今後についてのより詳し い情報がもたらされると思います。しかし来年こそ明るいニュースをいくつもコ メントしたいと思っています。  ちょっと早いですが、皆さん良いお年をお迎え下さい。                        

(生命保険アクチュアリー)