【Inswatch】37 <4/16/2001>

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【8】代理店のための生命保険入門               坂本 嘉輝

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連載開始にあたり 生保アクチュアリーの立場からの問題関心

◇はじめに

今号から寄稿させて頂くことになった坂本嘉輝です。皆さんの代理店経営に直結 する有益な記事が多い中、一つくらい皆さんの明日ではなく、あさってに結びつ くかもしれない記事があっても良いか、と参加させていただきます。盛りだくさ んの記事にチョット疲れた時の休憩のつもりで読んでください。 このinswatchの読者の皆さんは、どちらかというと、生保より損保の方にウェイ トが置かれている代理店の方が多いようですが、生保も知ってみると非常に面白 いビジネスですので、しばらく付き合ってみて下さい。

◇自己紹介

私はいわゆる日本社の生命保険会社に9年、その後外資系の生命保険会社に移っ て14年、数理関係をスタートとして、本社内務関係の仕事をいろいろ経験しま した。昨年3月に生命保険の再保険の仕事をするために、新しい会社(同じ外資 の100%出資の下で)を作りそちらに移ったのですが、その外資の方針変更に より、その会社を閉鎖することになりました。 この新会社の立ち上げと並行して、昨年1月から個人的にホームページ「アクチ ュアリーの練習帳」(http://www.linkclub.or.jp/~lax )を立ち上げ、生命保険 アクチュアリーと、生命保険アクチュアリーに関心のある人々との情報交換・意 見交換の場として提供しています。

◇アクチュアリーとは

アクチュアリーというのは、一般に生保会社の本社の奥の方で仕事をしていて、 なかなか外に出て来ない、たまに話をしてみても何だか小難しい事ばかり言って、 ちっともわからない、何か重要な仕事をしているみたいだけど、本当に役に立っ ているんだろうか...というのが一般的な見方で、生保会社の中でもあまり良 く理解されていない、ましてや代理店の皆さんや一般の保険の購入者(契約者) には、ほとんど存在感がないのではないか、と思います。

◇保険会社の専売特許から消費者サイドに立った理解へ

生命保険というビジネスはその大元の所が生命保険数理を基に作られています。 これをしっかり理解することが本当の生命保険商品の理解につながりますが、残 念ながら今までこれは生保会社の専売特許(ずいぶん古い言い方ですね)でした。 生保会社の中にいるアクチュアリーも会社の立場に立っての理解、説明しかして こなかったし、アクチュアリー以外の人に対する説明も十分なされてきたとは言 えません。 このような状況を変え、消費者サイド、購入者サイドに立った生命保険商品と生 命保険ビジネスの理解が今必要なのだ、と考えています。

◇生命保険における代理店の役割

とは言え、生命保険会社の中の人間にも良く理解されていないことを、一般の消 費者すべてに理解せよ、と迫るのはやはり無理だし、あまり効率的なことではな いでしょう。一般の消費者の代わりに代理店の皆さんがその辺の所をしっかり理 解し、必要に応じてお客さんに説明するというのが最も合理的なアプローチでは ないでしょうか。 保険代理店のビジネスは生命保険の方でもしばらく前から乗り合い(いくつかの 保険会社の商品を売ること)が正式にOKになっています。所属する保険会社の社 員の説明を鵜呑みにして覚えたことを再生するだけの外務員と違って、顧客の立 場に立っていくつもの保険会社の商品を比較検討し、最適な組み合わせをお客さ んに提供する代理店の皆さんこそ、まさにその役割(生命保険の仕組みとその効 果をしっかりと理解し、お客さんに説明し、アドバイスする)を果たすべき存在 だと思います。 上にも書いたように従来、保険会社の立場からしか考えて来られなかった生命保 険数理をこの場を使って消費者の立場から考えて行きたいと思っています。読者 の皆さんの忌憚ないご意見、リクエストなどお願いしたいと思います。                        

(生命保険アクチュアリー)