2013年 7月 29日  inswatch Vol. 678

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

保険ウオッチング                    坂本 嘉輝

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

SBIがPCA生命を買取る

参院選が終わり野党は軒並みゴタゴタしていますが、自民党はいよいよ本格的に動き出そうとしているようですね。

またTPPもようやく日本が正式に参加し、これから最後の詰めの作業ですね。日本も正式に議論に参加できるわけです。他の参加国の期待に応えて存分な議論を期待したいですね。

で、そのTPP正式参加に合わせるように、かんぽ生命がアフラックのガン保険を売るという方針が出てきましたね。TPPの交渉をスムースにするための提携なのかもしれませんが、かんぽ生命もアフラックもお役所のような大きな組織ですから、うまく擦り合せるのは大変そうです。かんぽにしてもアフラックにしても、うまくシステムに乗せることができるかどうかが最初のハードルですね。

もう一つ話題は、SBIがPCA生命を買取るという話です。SBIとしては3度目の正直とばかりに新しい生命保険会社を作ろうとしていたはずですが、それはあきらめて、代わりにすでに免許を受けている会社を買い取ったということでしょうか。 PCAは以前から売りに出ていたような状態ですから、両者にとって嬉しい話なのかも知れません。

このような買収話ではいくらで買い取ったかというのが今まではなかなか出てこなかったのですが、今回はSBIが明確に公表しています。買収価格は85百万USドルということですから、85億円ということになります。

この3月期の決算発表によると、3月末でPCA生命は資本金475億円、資本金+資本準備金で740億円、純資産で178億円の会社です。これが85億円で買えるのであれば、安い買物かも知れません。

一方PCA(これはイギリスのプルデンシャルという保険会社のアジアの保険事業を統括する部門です)とすれば、日本で塩漬けになっている会社を持ち続けるよ り、売却代金を他の発展途上の国の保険事業に振り向けた方が良いということなのかも知れません。

もちろんSBIとすると、85億円で買った会社をちゃんとした儲かる会社に作り変えるには、追加的な投資が必要でしょうから、単に安く買えたと喜んでいるわけではないでしょう。 しかし新たに保険会社を作るにしても何百億円かの資金が必要なことを考えると、良い買物かも知れません。

SBIにとっては3度目(あるいは4度目)の正直の保険会社です。今度こそうまく行って、すぐにやめてしまうことがなければ良いんですが。

(生命保険アクチュアリー、(株)アカラックス代表取締役) http://www.acalax.jp