2012年 12月 31日  inswatch Vol. 648

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保険ウオッチング                    坂本 嘉輝

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年末のご挨拶−来年こそいい年になる

選挙が終わって、自民党が動き出しました。  
自民党にもいろいろ問題はありますが、なんといってもお金の使い方がわかっていて、お金を使える人がたくさんいる、ということは、何よりの強みですね。

民主党はお金の使い方がわかる人がいなかったので、お金を使わないようにしようとして、結局のところ却ってお金を使うことになり、しかもそのお金がほとんど無駄遣いに終わってしまった、という感がします。お金の使い方がわかっている人がしっかりお金を使えば、多少の無駄遣いは発生するかもしれませんが、結局のところ使ったお金が何倍にもなって返ってきます。来年はそういう姿が見えてきそうですね。

年が明けると本格的に自民党がお金を使いだしますし、遅れ遅れの震災復興資金もようやく本格的に動き出しそうな気配です。

消費税の引き上げもスケジュールに乗っていて、便乗値上げのチャンスを狙っている人も多いでしょうし、円安による輸入商品の値上がりもあり、電気料金の大幅値上げもあり、ようやく物価が上がりそうですね。

自民党にとっては来年の参議院の選挙が最大の関心事の一つですから、その選挙の前ころには景気回復の見込みがかなり実感できるようにシャカリキに頑張るでしょうね。

もちろん自民党だけの力でそうなる、というわけではなくて、むしろ今まで民主党が景気回復を遅らせていた、その障害物がなくなった、というだけでもかなりの景気回復が期待できそうです。

自民党がお金を使うためには国債の発行が必要ですし、そのためには国債の利回りを上げることが必要ですから、日本もようやくインフレ高金利に向かって今年は動きだしそうです。日銀もある程度までのインフレを目標とする、ということですし、日本には(世界にも)お金はいくらでもあるんですから、これがある程度まで動き出しさえすれば、残りのお金もつられてどんどん動きだすはずです。

お金が動けばマーケットも大きくなり、それは保険業界も同じです。

もちろん、あんまり急激に金利が高くなってしまうと国債が値下がりして保険会社を含む金融機関の決算が悲惨なことになりますから、3月までは皆で協力して無理やりにでも国債の利回りは低い水準に抑え込むのでしょうが、4月になったらもう歯止めはかかりませんから、利回りが一気に上がりだすかもしれません。

今までの国債利回り低下のため、生保の予定利率の引き下げも4月から実施される予定ですが、予定利率を引き下げた途端に市中金利が上がり始める、という皮肉なことになるのかもしれません。ちぐはぐな動きと国債利回りの上昇で生命保険会社の決算は短期的にはちょっと苦しいかもしれませんが、長期的にはマーケット拡大による収益増のチャンスです。生命保険の貯蓄機能がきちんと評価され、活用されるようになるといいですね。

ここのところしばらくユーロ危機の話がおさまっていますが、もちろん解決したわけではないのでこれからも繰り返し危機が到来するでしょうし、アメリカの『財政の崖』というのもまだ解決していません。中国や韓国も新しい指導者の下、それぞれの経済危機を乗り越えることができるかどうかわかりませんが、まずは日本だけでも景気回復の方向性が見えてくるんじゃないか、と思います。

と、かなり調子のいい見通しを書いたところで、いよいよ今年も今日が最後です(これを新年になってから読んでる人も多いんでしようね)。

今年もいろいろありましたが、皆様お世話になりました。来年もよろしくお願いいたします。みなさまよいお年をお迎えください。

(生命保険アクチュアリー、(株)アカラックス代表取締役)