2012年 6月 26日  inswatch Vol. 621

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保険ウオッチング                    坂本 嘉輝

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主要生損保の平成24年3月期決算の概要

いよいユーロの状況はどうにもならないことがはっきりしつつあります。日本の失われた10年、20年を繰り返すことになりそうです。日本のように一つの国ではなく、いくつもの国にわかれている分、日本よりなおさら時間がかかりそうですね。

とはいえ20年でも30年でもかけて回復した暁には統一された強力なヨーロッパ国になっているかもしれません。

で、日本はいよいよ消費税引き上げ、その後の解散総選挙、政界再編でようやくまともに動き出すのかもしれません。とはいえそれまでいろいろ紆余曲折がありそうですが。

とりあえずはユーロ危機もこれからが本番ですから、それをなんとか潜り抜けるまで、もうしばらくは我慢の年が続きそうです。保険会社の3月末の決算を受けて、金融庁が『主要生損保の平成24年3月期決算の概要』というものを発表しています。

保険会社の決算の状況を見るには個々に会社ごとの数字を見なければ本当のところはわからないのですが、全体の概況を示そうとすると主要な指標の集計値を 計算してそれを見たくなる、というのも気持ちはよくわかります。

それでその『主要生命保険会社の平成24年3月期決算の概要』『主要損害保険会社の平成24年3月期決算の概要』については金融庁のホームページを見ていただくとして、私の興味はむしろその主要生損保、主要指標の内容です。

生保の方は、『24年3月末総資産5兆円以上の生命保険会社(かんぽ生命を除く)14社』の合計、となっていて、これに個別会社の内訳として総資産10兆円以上の 生命保険会社(かんぽ生命を除く)4社の個別の数値も載せています。これによ り、いわゆる旧日本社大手の数字も見えるようになっているわけです。

この結果、変額保険・銀行窓販の会社はこの『主要』の中に入りませんし、様々な特徴のある新発の会社、多くの外資系の会社も入りません。何より一番大きなかんぽ生命を除外しておいて『主要』というのもどんなもんなんでしょうか。

一方、損保の方はというと、なんと、東京海上HD、MS&ADHD、NKSJHDの3グループだけの集計です。

まあ、日本の損保がおおむねこの3グループに集約されてしまった、ということなんでしょうが、生保の14社と比べると業態のあり方がだいぶ違いますね。で、3グループしかないので3グループそれぞれの連結ベースの数字とその合計、およびそのグループ内の主要な個別会社の単体の数字が出ています。生保の方で はグループ単位の数値が出ていない、というのも面白いですね。 生保の計数のトップに基礎利益が来ているとか、総資産が入っていない、というのもおかしな概要です。     

(生命保険アクチュアリー、(株)アカラックス代表取締役) http://www.acalax.jp