2012年 4月 13日  inswatch Vol. 613

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保険ウオッチング                    坂本 嘉輝

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消費増税、電力全量買取そして

月に入ってやはりマーケットは元に戻っているようです。

為替も円高に戻り、株価も9,500円を行ったり来たりです。まあ、とりあえず 3月末は無事に過ぎたということで、これは予定通り、ということなのかもしれ ません。

とはいえ、日本はゴールデンウィークの真っただ中で、長閑なものですが、今 度の週末はフランスの大統領選挙とギリシャの総選挙です。せっかくのユーロ危機の応急処置がひっくり返ってしまうかもしれない、という波乱含みの選挙です。

またギリシャに続いて今度はスペインの状況が危なっかしくなっているようで、 これはギリシャに比べればはるかに規模が大きいので、なかなか手ごわいことになるのかもしれません。

もちろんそれを見越してIMFが追加的に各国から4300億ドル超の資金を調達 して、準備を整えている、ということでしょうが、いよいよとなった時にそれで足りる、という保証はありません。

今後もユーロとECの行方には注目し続ける必要がありそうです。

アジアでは北朝鮮がにっちもさっちも行かなくなっている中、中国でも中枢部 での権力闘争が激しくなっているようで、中国の支援が期待できない北朝鮮がど うなってしまうのか、これも要注意です。

さて、日本ではいよいよ消費税率の引き上げに向かって着々と進行中のようです。電力の全量買い取り制度も始まり、経済産業省は売値の2倍で買い取らせる つもりのようです。これなら安心して発電設備に投資できますから、全量買い取 りの電力はどんどん増えて、その分電力会社の仕入れ価格が高くなり、売値の電 力料金もどんどん上がるでしょう。どんな産業でも全て電気を使って生産なり販売なりしていますから、価格は当然その分高くなります。さらに消費税が上乗せ されるとなるとサラリーマンの給料もその分上がらなければ暮らしていけないで しょうから、その分も物価が上がることになります。

インフレはその見通しが立った段階でそれを先取りして現実に値上がりが始ま ります。

我々より上の世代にとってはあまりうれしいことではありませんが、世の中に活気をもたらすためには必要なことかもしれません。とはいえ、今の若者はイン フレの経験が全くないので、そのありがたみがわからないかもしれません。

一時払終身保険で資産を急増させてしまった保険会社にとってはちょっと苦 いことになるかもしれませんが、長期的にはある程度のインフレは世のため人のため、国の財政負担もちょっとは軽くなります。

5月の後半になれば3月末の各社の決算が発表されます。

(生命保険アクチュアリー、(株)アカラックス代表取締役) http://www.acalax.jp