2012年 1月 30日  inswatch Vol. 600

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保険ウオッチング                    坂本 嘉輝

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少短事業者等への規制の見直し  

遅まきながら、皆様あけましておめでとうございます。ユーロ危機、いよいよ危なっかしくなってきましたね。北朝鮮もかなり大変なようです。日本では野田さんがいよいよ攻勢に転じて、今後の国会内外での民主党、自民党、公明党、その他の党との闘いが見ものですね(民主党を入れたのは、野田さんは民主党との闘いも辞さない覚悟のようだ、というくらいのつもりです)。

ところで、金融庁は年明け早々の1月6日に『資金の貸付けを行う特例民法法人・少額短期保険業等に係る規制の見直しについて』というものを発表しています。
  http://www.fsa.go.jp/news/23/kinyu/20120106-2.html

見直し内容として、 
(1)貸金業法等の適用範囲の見直し
(2)少額短期保険業に係る規制の見直し の二つが挙げられています。

(1)の方は、特例民法法人(昔の公益法人(社団法人・財団法人))が貸付事業を行っている場合に、経過措置として貸金業法の適用除外とする特例が認められていたのを、その特例民法法人が一般社団法人・一般財団法人に登記しなおした場合でも特定のケースでは貸金業法の適用除外とする特例をそのまま続けるようにする、と書いてあるのですが、その付録のように、同じような特定のケー スについては保険業法の適用除外にする、と言っています。

共済事業を行なっている特例民法法人は現在、特定保険業者、という形で保険事業を行っており、一般社団法人・一般財団法人に登記しなおした場合にその保険事業を継続するために新たに保険業法に『認可特定保険業者』という制度がもうけられて制限付きで保険事業を継続することができるようになっていて、そのための作業をしている特例民法法人もいくつかあるのですが、そのうちの一部は特定保険業者から保険業法適用除外の保険業者、ということになるので、なおさ ら負担が軽くなります。

(2)の方は、少額短期保険業者の場合の保険金額の上限の規定と一契約者あたりの被保険者数の上限の規定に関するものです。

保険金額の上限の規定というのは、特定保険業者から少額短期保険業者になったような場合については経過措置として保険金額の上限を本来の5倍ないし3倍にするという特例を認めているのですが、その特例期間がそろそろ終わるので、もう少し特例期間を先延ばしする、というものです。    

一契約者あたりの被保険者数の上限の規定というのは、現在は保険金額にかかわらず一律に一契約者あたりの被保険者数を100人まで、としているのを、総保険金額の要素を加味して、総保険金額が一定の上限以内であれば被保険者数が100人を超えてもいいことにする、というものです。    

どちらもあまり対象となる業者は多くはないと思いますが、業者によっては新年早々の大変なお年玉なのかもしれません。

ということで、今年もよろしくお願いいたします。

(生命保険アクチュアリー、(株)アカラックス代表取締役)http://www.acalax.jp