2011年 7月25日 inswatch Vol. 573
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保険ウオッチング 坂本 嘉輝
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ソルベンシー新基準検討で日本ア会7委員会設立
先先月報告した「経済価値ベースの保険負債評価」の試算のレポートに関して、いよいよ本格的に「経済価値ベースの保険負債評価」を行うために、日本アクチュアリー会に具体的に作業のための委員会ができました。
『経済価値ベースのソルベンシー基準についての検討体制強化について』
http://www.actuaries.jp/info/Z20110630.html
「特別課題第一WG」
「特別課題第二WG」
「特別課題第三WG」
「特別課題第四WG」
「特別課題第五WG」
「特別課題第六WG」
と
「ソルベンシー検討総務部会」
と、いちどきに7つもの委員会を立ち上げる、というのですから、アクチュアリー会としても本気です。
それぞれの委員会の役割分担は
「特別課題第一WG」は、主として、生命保険の保険事故発生率等に関係する課題の検討
「特別課題第二WG」は、主として、損害保険の保険事故発生率等に関係する課題の検討
「特別課題第三WG」は、主として、解約・失効等に関係する課題の検討
「特別課題第四WG」は、主として、割引率および金利リスク等に関係する課題の検討
「特別課題第五WG」は、主として、支払備金・再保険等に関係する課題の検討
「特別課題第六WG」は、主として、リスクマージン等に関係する課題の検討
「ソルベンシー検討総務部会」は、これらのWGの検討をとりまとめるとともに、金融庁と連携した検討にも対応
ということで、金融庁との連絡体制も、
日本アクチュアリー会は、経済価値ベースの保険負債等の計算やリスク測定等における内部モデルの利用といった実務的な課題等についての検討を進めるために、金融庁と日本アクチュアリー会が連携した、定期的な検討会(名称は「ソルベンシー・ジョイント・スタディ・グループ」、平成23年6月よりスタート)に参画しています。
ということで始まっているようです。
実質的な技術的な話は日本アクチュアリー会の方でするしかなく、金融庁はそれに対してあれこれ理屈を言う、ということになるんだろうと思います。
とまれ、保険会社の決算のやり方に関して大っぴらに(とはいっても外部には非公開で)保険会社の人間を巻き込んで議論する、というのはいいことかもしれません。
上の各WK(ワーキンググループ)の検討課題を見れば、どのあたりが重要なテーマなのかが多少はわかると思います。
もちろんその内容は当面外部には出てこないんだろうと思いますが。
このような検討で理論的な課題を明確にして、あとは現実的に技術的に、そのような計算がどのようにしたら可能になるのか、とか、新しい基準を保険会社を経営する立場からどのように評価するか、ということが合わされば、全体像がはっきりしてくると思います。
いずれにしても保険会社のアクチュアリーやシステムの人たちはまたまた大忙しになります。これは言い換えればコンピュータ会社やコンサル会社にとってはあたらしい商売のネタになるのですが、残念ながらうちなんかには商売が回ってくることはなさそうです。
(生命保険アクチュアリー、(株)アカラックス代表取締役) http://www.acalax.jp