2010年 12月27日  inswatch Vol. 543

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【5】保険ウオッチング                    坂本 嘉輝

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来年の生保業界

今年もいろいろありましたが、そのまとめはいつものように石井さん、中崎さんがやってくれていると思います。一年を振り返ってみてください。 

来年は生保業界、いろいろ大変です。     
まずは、ソルベンシーマージン比率の計算の変更です。うわさでは、今までの比率が新しい基準で計算すると半分くらいになるようです。その結果、ソルベンシーマージン比率が200%の近くになってしまう会社は、いろいろ工夫してソルベンシーマージン比率のかさ上げを図り、それで足りなければ資本金や基金を増 額しなければなりません。

今のところまだ、増資を実施した会社はそれほど多くはありませんが、12月末の結果を踏まえてこれから3月にかけて、いろいろな動きがでてくるものと思います。

責任準備金の時価評価の試行も3月に結果が発表されます。これによって、資産・負債の両方の時価評価により、保険会社の財務状況がどのような姿に変わるか、興味のあるところです。とりあえずは今のところ、試行の段階ですが、この動きはもはや後戻りはできない状況でしょうから、各社とも現行の会計制度での決算結果のコントロールと同時に、新しいルールの元で、どのように決算の結果をコントロールしたらいいか、考え始めていることと思います。

失われた10年がいつの間にか20年になってしまって、もうしばらくは続きそうですから、ゆとりのないところで何とかつじつまを合わせなければならないので決算結果のコントロールはそれぞれの会社にとってなかなか難しい問題です。ヨーロッパは相変わらず危なっかしいし、アメリカもどこまで信用できるかわからない、という状況です。

国内では菅さんが相変わらず悪戦苦闘していますし、アメリカ・ヨーロッパの状況を反映して円高は止まりません。国債の利回りも低いまま、とはいえ、徐々に高くなりつつあります。来年度の予算案がようやく閣議決定されたようですが、税収見込みは低いままですから、国債の増発はとまりません。今のところ国債の低利回りというバブルはまだはじけていませんが、これがはじけて国債の価格が暴落でもしたら銀行も保険会社も大変です。

年末年始は日本が正月休みを取っている間に海外のマーケットでおかしな動きがでてくるかもしれません。

北朝鮮は韓国への砲撃のあと、チョット態度を軟化させていますが、その分、韓国は積極的に挑発しているようですから、何かのきっかけで事態がいつ急変するとも限りません。ほんとに何かが起こってしまったら、しばらくはマーケットがコントロール不能になってしまうかもしれません。  

さまざまな不安定要因を抱えながら今年が終わります。とりあえず、健康にお気をつけて、良い年をお迎えください。

一年間、お世話になりました。

(生命保険アクチュアリー、(株)アカラックス代表取締役) http://www.acalax.jp