2010年 9月27日 inswatch Vol. 530
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【5】保険ウオッチング 坂本 嘉輝
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年金の二重課税問題と還付の手続き
民主党の代表選、菅さんの勝ちで決着が付きました。これでしばらくは民主党が与党という時代もチョット長持ちしそうです。自民党や公明党も本格的に野党の行き方を試行錯誤しながら積み上げていくことになるでしょう。
菅民主党は今までのような官僚排除の看板を下ろすことになりそうですから、官僚の皆さんもようやく本領発揮で実力の見せ所ですね。
小沢さんも自分の時代が終わったのを認めるのに少し時間がかかるでしょうが、それも仕方ないことかもしれません。あまりみっともない姿は見たくはないですが。
厚生省の村木さんの裁判はやはり検察の負けが確定してしまいましたが、ついでに主任検事の証拠隠滅というおまけまでついてきてしまってたいへんですね。
これが小沢さんの政治と金の問題に変な影響を与えなければいいのですが。
本来であればこの週末はこの主任検事の証拠隠滅問題で大騒ぎになるはずでしたが、今度は尖閣諸島の領海侵犯の船長さんの釈放問題で大騒ぎですね。マスコミも無責任に威勢のいいことをいっています。まあ、プロ野球の優勝チームが決まりでもすればすぐに落ち着くんでしょうが。
というところでいよいよこの金曜日から10月ですが、マスコミの報道によると死亡を支払事由とする年金の二重課税問題について、10月から還付の手続きが始まるようです。とはいえまだ具体的なことは何も発表されていませんが。どんな計算をして、どのように還付する予定なのか、興味がありますね。
生保会社・損保会社は対象となりそうな契約件数を発表していますが、とりあえず保険会社ができることは対象となる年金の受取人に通知するだけです。それを元に実際の所得税を還付請求するのはそれぞれの年金受取人が自分で、ということになります。税理士の先生は思いがけない特需で忙しくなりそうですが、なかなかすんなりと手続きができるとは思えません。保険会社も今のところ責任はない、というスタンスですが、保険契約者や年金受取人がそう簡単に納得するとは思えませんから、苦情対応は結構厄介なことになるかもしれません。
今のところ過去5年分の還付請求だけを受け付ける、ということですから、今後さらにその前にさかのぼっての還付が実施されるとすると二度手間になってしまいます。とりあえずこの過去5年分より以前の還付の取扱がどうなるか、ということだけでも公表しないと混乱が増すだけということになってしまうのではないかと思いますが、そこまでの準備ができているんでしょうか。
消費者金融の過払い利息の取り戻し請求で一部の弁護士や司法書士の荒稼ぎが問題になっていますが、今度の所得税還付では同じように荒稼ぎする税理士の先生が登場するんでしょうか。
国税庁のホームページではすでに振り込め詐欺の登場を想定して注意喚起をしています。
(生命保険アクチュアリー、(株)アカラックス代表取締役) http://www.acalax.jp