2010年 8月30日  inswatch Vol. 526

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【6】保険ウオッチング                    坂本 嘉輝

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「異例なほど不確かのままだ」

民主党の代表選、ついに小沢さんが出馬に追い込まれてしまいましたね。これで勝っても負けても小沢さんの時代は終わりということでしょうか。

管さんは戦う相手が登場してきたのでえらく張り切っていますね。選挙に勝ったら今度こそ、誰はばかることなく好きなようにできるということでしょうか。

「3年後にダブル選挙をする」と新人議員に話しているようですが、そんなにうまく行くでしょうか。それまで民主党がもつかどうか、不確かです。

日本はこんなことで大騒ぎをしていられるだけ平和で、この夏休みの海外旅行客数も最高だったようですが、アメリカやヨーロッパはまだまだ大変です。

つい先日もバーナンキが『異例なほど不確かだ』といった、というニュースが繰り返されていましたが、この発言は英語の原文を確認すると正しくは、『異例なほど不確かのままだ』と言っています。即ち、今までも『異例なほど不確か』だけれどそれが改善されずにそのままの状況が続いている、と言うことで、単に『今、異例なほど不確かだ』、と言うのとはまるで意味が違います。

日本のマスコミがこの意味の違いがわからないで『異例なほど不確かだといった』、と報道しているのか、あるいは何らかの意図があって『のままだ』という部分を除いて報道しているのかはわかりません(まさか英語がよくわからない、ということはないと思います)が、なんとも不思議なことです。

日本はいわゆるバブルがはじけた後『失われた10年』というのがいつの間にか15年になり、20年になろうとしています。アメリカやヨーロッパはまだ2〜3年しかたっていないじゃないですか。アメリカもヨーロッパもまだこれから『失われた10年』を経験しなくちゃならないんですから、そう簡単に良くなるわけがない、というのはごく簡単な理屈です。いわゆる経済評論家の先生方はこの理屈がよくわからないんでしょうね。

日本の国債の利回りがついに0.9%まで下がってしまいました。要するにほかに適当な投資先がないから利回りが高くないけれど金庫の中にしまっておくよりいいだろう、ということでお金持ち(投資家)がみんなで国債を買っている、と いうことです。それも日本の金持ち(投資家)だけでなく、海外の金持ち(投資家)も投資先がないので仕方なく日本の国債を買う、そのためにはまず円を買わなければならないので為替レートも円高になる、ということでしょう。この状況が続く限り、アメリカもヨーロッパもまだまだ状況の改善には時間がかかりそうだ、ということですね。

国債の価格はもう完全にバブルの水準ですが、生保会社を含め金融機関もわかっちゃいるけど国債を買うしかない、という状況です。あのバブルのとき、高いのはわかっているけど株を買い続けるしかなかった、という状況によく似ています。資産運用のダメージによる破綻のリスクも次第に高まっているんじゃないで しょうか。

8日前の日経新聞には、「円高だからそろそろFX投資」みたいな記事が出ていました。そう簡単に円安に戻るとは思えませんが。

(生命保険アクチュアリー、(株)アカラックス代表取締役) http://www.acalax.jp