2010年 4月26日  inswatch Vol. 508

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【3】保険ウオッチング                    坂本 嘉輝

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4月の業界動向の注目点

4月になりました。いよいよ株式会社第一生命のスタートです。膨大なお金を掛けて株式会社化を果たし、そのための資金供給により日本経済にプラスの影響を与える、などという議論もありますが、まずその前に契約者にはどんなプラスがあるんでしょう。株式の割り当てを受けた、とか端数株分の現金をもらった、とかいってもそれはもともと契約者の持分だったものをごく一部山分けした、というだけのことですからそんなもので喜んでいないで長い目で見ないとだまされ てしまうかもしれませんね。

保険会社のソルベンシーマージン比率の計算方式の変更が正式に決まりました。今までの基準と比べると場合によってはソルベンシーマージン比率が半分くらいになるようで、3月末の決算を受けて4月以降、資本増強に向けて各社とも動き出しているようです。実際、どれくらいの違いになるのか、具体的に開示してくれる会社があるとうれしいのですが。

会社で火災保険と賠償保険の契約をしたのですが、いつの間にか大変なことになっているんですね。火災保険については保険証券が送られてきて、『約款は後日送付します』という書類が入っていました。生保などでは『約款の事前配布』は非常にうるさく言われるのですが、損保では保険会社自体が堂々と『約款の事後配布』といっているのはびっくりしました。

さらに、保険料も、契約してから2ヵ月以内に払えばいい、保険料を払う前の事故でもちゃんと補償してくれる、ということで、昔の常識はもう通用しないようになっていることを知りました。これを機会にもう少し損害保険の勉強をしようかな、と思っています。

『共済事業の規制のあり方についての方針(案)』というものが金融庁から公表され、現在パブリックコメントの手続きに入っています。とはいえ、4月21日の発表ですから、実質的には22日に見て、パブリックコメントの締め切りが今日4月26日の正午まで(これが配信されるころにはもう締め切られている?)、というなんともあわただしいものです。これは無認可共済関係の保険業法の改正の改正法の改正、という形の法律になるようです。国会のほうは民主党も自民党もシッチャカメッチャカのようですから、すんなり法律になるかどうかはなんともいえません

今回の改正は、なんとなく共済事業を行っている公益法人の共済事業について、何とかする、というもののように思っていましたが、中身をよく読むと必ずしも公益法人に限定するものでなく、特定保険業者であった団体が対象になるようです。どこまでの団体が対象となるかはまだよくわかりませんが、詳細の決まり方によってはいろいろ面白い展開が可能になるかもしれません。

少額短期保険業者も3月末決算の取りまとめの作業中です。多くの少短業者はかなり経営に苦戦しているようなので、この結果も注目です。

(生命保険アクチュアリー、(株)アカラックス代表取締役) http://www.acalax.jp