2010年 3月22日  inswatch Vol. 503

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【3】保険ウオッチング                    坂本 嘉輝

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メットライフによるアリコの買収等に注目

メットライフによるアリコの買収が決まったようで、ようやくAIG問題も解決に向かって進みだしたようですね。アリコと並ぶAIGグループの生保事業のAIAもイギリスのプルデンシャルが買収することに決まったようですから、あとはエジソンとスターがどうなるか、といったところでしょうか。

AIAを買ったイギリスのプルデンシャルの日本の生保ビジネスであるPCA生命は2月から新契約の取扱をやめてしまっていますが、この買収に関してなにもコメントしていません。イギリスのプルデンシャルのアジア戦略全体の中で日本のビジネスを再検討する、ということになるのでしょうか。

アリコを買ったメットライフは日本では三井住友海上メットライフとして銀行窓販のビジネスを展開していますが、この会社は三井住友海上とメットライフのジョイントの会社ですから、アリコとの関係をどうするか、悩ましい問題ですね。

三井住友海上のほうも、ニッセイ同和、あいおい損保との統合を控え、生保ビジネスもきらめき生命とあいおい生命を合併させようとしているようですから、これと三井住友海上メットライフの関係も整理をしなくてはならないことになります。かなり複雑な連立方程式です。

いよいよ4月になると第一生命の株式会社化が実現します。これに伴う無駄遣いがどれくらいの規模に上るのか、わかってくるのはまだまだ先でしょう。今のところは当面、第一生命はお祭り騒ぎ、その他の会社はお手並み拝見の高みの見物、というところでしょうか。フロンティア生命にどれだけの資金をつぎ込んでいるのか、というところにはなかなか目が行かないようです。

民主党の年金改革の中身がなかなか出てきませんね。未払いの国民年金の保険料を後から払える期間を延長して年金を受け取れるようにする、とか、年金を受け取るための最低払い込み年数の25年をたとえば10年くらいに短縮して年金を受け取れるようにする、とか、いずれにしても無年金になる人をできるだけ減らそうという意見が出ています。これ自体は大賛成なのですが、これと同時にそれによって国民年金の財政がどれくらい追加負担になるのか、厚生労働省が説明してくれるとうれしいですね。

当面は国民年金の保険料が余計に入ってくるわけですが、その後、基礎年金を払うときになったら保険料が余計に入ってきた額の2倍超の年金の支払いをしなくちゃならなくなるのですから、トータルで考えれば年金財政は苦しくなるのに決まっています。

この機会にこのあたりの計算をきちんと説明すれば、国民年金の保険料の未納率が高ければ高いほど年金財政は楽になる、未納率を低くすると年金財政はその分苦しくなって税負担が増える、ということをはっきりさせることができると思うのですが、なかなかそんな話になりませんね。

もうチョットで3月末、今のところマーケットは株価も金利(債券価格)も為替もそれほど悲惨なことになっていないので、3月末決算も何とか無事にいけそうです。

(生命保険アクチュアリー、(株)アカラックス代表取締役) http://www.acalax.jp