2009年 12月28日  inswatch Vol. 491

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【4】保険ウオッチング                    坂本 嘉輝

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波瀾万丈の2009年政財界  

オバマさんのノーベル平和賞、平和賞の受賞演説で戦争の正当性を堂々と主張した、これにはみんなびっくりしたのではないでしょうか。『正しい戦争』という言葉を持ち出して、『正しい戦争』は良い、しかし『聖戦』はだめ、というのですから、あまりよくわかりません。イスラム過激派の『聖戦』はジハードというのですが、これはだめ、ということでしょう。キリスト教のほうの『十字軍』はクルセードというのですが、これが『聖戦』の中に入っているのかどうかはよくわかりません。いずれにしてもノーベル平和賞とは一体何なのか、という明確な問題提起にはなったのでしょうか。広島・長崎が核廃絶でオバマさんを招待したい、という話はどうなるのでしょうか。

日本では鳩山さんです。払い損なっていた税金を払えばそれですべて解決、何も知らなかったんだから仕方ない、とほんとに思っているようです。小沢さんも政治献金のことで『なぜ自分だけ』という発言をして、法律違反もみんながやっていれば問題ない、という認識のようです。これが『政治主導』と言いながら立法府(すなわち、法律を作るところ・国会)の主導権を持っている民主党のリーダーなんですから、どうにもなりません。こういう認識で法律を作ろうとするんですから、その結果の法律がどんなものになるか、結果的にはやはりお役人に丸投げするしかないんだろうと思います。こうなると検察のほうはやりたい放題、政権党の民主党に何の遠慮もなく議員の不正を次々に槍玉に挙げていますが、これで人気が出てしまうというのも困ったものです。

来年の国の予算も当分できないだろうと思っていたら先週急に決まってしまいました。今までであったら各省庁から概算要求があって、財務省がぎりぎりまで査定し、その上で閣僚の復活折衝などを経て予算案が出来上がるのですが、今度の予算はまず最初に予算の総枠を抑えるためのシーリングもなしにしてしまって、財務省の査定もなくなって、その代わりの『事業仕分け』も視聴率は稼いだものの実質的にはたいしたことなく終わってしまい、お役人は要求がほぼそのまま通ってしまってたぶん喜んでいるんでしょう。とはいえ今までの動きからするとせっかく決まった来年度予算も今後いつどのように変わるかなんとも予想が付きませんが。

支出のほうが絞り込めず、税収も減る見込みしかない以上、収支のつじつまを合わせるには借金を膨らませるしかなくなります。先週決まった予算案でも空前の国債増発ですが、その予算が執行されるころにはさらなる財源不足がはっきりするかもしれません。そうなると、更なる国債増発で今度こそ国債の発行金利もかなり高くせざるを得なくなるかもしれません。

現在、長期金利の指標である10年国債の利回りは1.2%程度の水準ですが、これが大幅に上がるとなると、既発の債券の値段は暴落することになります。債券を大量に保有している生命保険会社をはじめとする金融機関は大変なことになります。来年の3月末の決算に向け、またまた目が離せない状況です。

ということで波瀾万丈の2009年ももうすぐ終わり、来年は激動のトラ年です。       
何が起ころうとまずは健康が一番。皆さん健康でよいお年をお迎えください。今年も一年お世話になりました。

(生命保険アクチュアリー、(株)アカラックス代表取締役) http://www.acalax.jp