2009年 10月 26日  inswatch Vol. 482

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【6】保険ウオッチング                    坂本 嘉輝

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ソルベンシーマージン比率の計算  

オバマさんにノーベル平和賞、というのはほんとにびっくりしましたね。オバマさんのプラハ演説で広島長崎の原爆反対の人たちが高く評価していたのでその演説を読んでみたのですが(ネットの検索で英語でも日本語でも簡単に手に入ります)、私にはアメリカの核独占宣言としか理解できないものでした。それが国連で取り上げられ、ノーベル賞にまでなってしまう、というのはなんとも不思議な話ですね。

ところで、10月に入って、生保各社は9月末決算の作業の真っ最中でしょう。マーケットの状況は3月末に比べるとかなり良くなっているので、増資をしている会社もあまりありませんが、むしろ問題は先月のこの稿で取り上げたソルベンシーマージン比率の計算です。

実際の適用はまだ先、とは言っても決まった以上は新しいルールで計算して、あらかじめ増資その他の対応策が必要かどうか確認する必要があります。実際に増資等の動きがでて来るのは来年の3月でしょうが、そのためにもあらかじめ計算して、増資のための準備作業をしなければなりません。

今回のソルベンシーマージン比率の計算では、大きな変更点として、責任準備金と解約返戻金の差額が今まで全額ソルベンシーマージンになっていたのが、変更後ではソルベンシーマージンにすることのできる上限が定められた、ということです。

詳しくは金融庁のホームページを見ていただくことにして、要はその他のソルベンシーマージンの額を限度にソルベンシーマージンに入れることができる、ということです。即ち、その他のソルベンシーマージンが十分にないとこの部分だけでソルベンシーマージンを十分にかさ上げすることができなくなってしまう、ということです。

たとえば念のために責任準備金を多めに積もうとすると、その分会計上の純資産が少なくなってしまい、その結果、責任準備金を多めに積んだ分はソルベンシーマージンにはならないかもしれない、ということのようです。なんか変だな、と思いますが、どうなんでしょう。

ところで、これも先月のこの稿で話題にしましたが、新しい保険法の制定にあわせて各社とも約款その他の改定作業をしているのですが、ここでようやく各社のホームページに保険法対応に関する解説のページが出てきました。生命保険協会のホームページにも保険法の解説のページがありますから一度ざっと目を通しておくと良いかもしれません。

今回の保険法の制定は来年4月以降に既契約に対しても適用されるので、約款の改定は新契約分だけでなく、既契約の約款も変更しなければなりません。とはいえ個々の契約者にいちいち約款変更の了解をもらう手続きをするのも大変なので、保険会社のほうで約款を改定してしまって、契約者にとっては今までより有利になることはあっても不利になることはない、ということで、このように変えました、という通知だけで済ますことになるようです。

(生命保険アクチュアリー、(株)アカラックス代表取締役) http://www.acalax.jp