2009年 9月 28日  inswatch Vol. 478

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【6】保険ウオッチング                    坂本 嘉輝

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約款の新保険法対応  

衆議院の総選挙で民主党が大勝してからに1ヵ月、なかなか具体的に動き出すことができないようですが、かなり現実的な方向に変わってきつつあるようにも思われます。いずれにしてもなにをするにも時間がかかるのは避けられないでしょうから、そのつもりで見守るしかないでしょうね。

8月末に、もうあきらめたのかと思っていたソニーエイゴンに生命保険業の免 許が出ました。この期に及んで、変額年金主体の保険会社をスタートさせる、というのはどうなるのかな、と思いますが、むしろ、今からはじめるから有利なんだ、という考え方もあります。どんなことになるのかこちらも見守っていきましょう。

いつの間にか9月末の半期の決算の時期になりました。いくつかの会社で増資の動きがありましたがそれほど多くもありません。    

去年は10月以降、急激に状況が悪化し、12月末、3月末と増資が続きました。こんな中、金融庁はソルベンシーマージン比率の計算の変更案を発表しました。
  http://www.fsa.go.jp/news/21/hoken/20090828-1.html

新しい基準によると、従来方式と比べてソルベンシーマージン比率が半分くらいに減る、ということですから、各社とも対応するのが大変でしょう。とりあえず新しい基準によるソルベンシーマージン比率の実施はさ来年の3月末から、ということですからしばらくの時間的な猶予はありますが、来年の3月末から新しい基準によるソルベンシーマージン比率も計算・表示することになるようですから、本格的な実施の前にマスコミは早手回しに騒ぎ出すでしょうし、保険会社もそれに備えてソルベンシーマージン比率が減るのをおさえる算段を始めることになるでしょう。手っ取り早くそうする手段は増資、ということになりますが、どんなことになるか、こちらも注目です。

ところで、従来商法の中で規定されていた保険契約法が独立して保険法として成立し、来年の4月からいよいよ施行されることになります。これにあわせて保険会社各社は約款の改定やそのための事務処理方式の変更準備のために大わらわです。

保険法の規定には、必ずそうしなければならない、という強行規定と、必ずしもそうしなくてもいい規定と、両方あります。ところが今回の保険法対応に当たっては強行規定であろうとそうでない規定であろうと、保険約款をすべて保険法に合わせる形で改定しなさい、というのが金融庁の方針のようで、約款の変更内容もかなりのものになります。

それより大変なのは、保険料不可分原則の否定による未経過保険料の返還のほうです。今までの返戻金の計算のやり方を変更しなければならないことになるので、しばらくはかなり混乱が生じるのではないかと思います。特に保険金不払い問題と同じように考えると、実務担当者はかなり大変なことになっているものと思います。

約款の保険法対応の期限は来年の4月までに、ということですが、団体扱いや直販の契約などは4月1日が契約日となる契約の申込が年明け早々にはじまるケースもあり、遅くとも契約の申込のときまでには約款を渡さなければならない、ということになっていますから、新しい約款を作成し、それを印刷して募集活動するために、時間的な余裕はあまりない、ということです。

いずれにしても代理店の皆さんにとっては、約款の全面改訂、ということで募集資料の全部取り替え、という作業と新しい約款の勉強会がまた来年もある、ということになります。

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(生命保険アクチュアリー、(株)アカラックス代表取締役)