2009年 8月 24日  inswatch Vol. 473

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【5】保険ウオッチング                    坂本 嘉輝

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

生保、少短の業績動向  

いよいよ次の日曜日は衆議院の総選挙です。今のところ、民主党の大勝利、というのがマスコミの予想ですが、どうなることでしょう。

民主党に期待しているわけではないけれど、一度やらしてみて、実際、何もできないのをはっきりさせたほうがいい、という意見もあります。

明治維新のとき、それまでの尊皇攘夷の志士が尊王開国に君子豹変したように、民主党も政権をとったとたん、自民党と同じようになるのではないか、という期待、あるいは予想もありますが、そんなに都合よく行くでしょうか。いずれにしても、しばらく混乱は避けられないでしょうね。

ところで、生保会社の6月末の第一四半期報告が出揃いました(プルデンシャルファイナンシャル生命(元の大和生命)だけはまだですが)。アイリオ生命とみどり生命はほかの会社よりチョット遅れましたが先週末にはどちらも第一四半期報告を開示しています。

今期の四半期の状況は3月末に比べて、おおむね若干の改善、といったところで、まずは一安心、ですが、まだまだ安心できる状況にはありません。

アメリカもヨーロッパも、口先ではもう経済危機も底を打ったとか言っていますが、実際の経済状況はかなり厳しい、ということが、ニュースなどをきちんと見ているとわかります。

日本の状況は今のところかなり良くなっているようですが、民主党が政権をとって、行政が機能停止にでもなったらどうなるかわかりません。もちろんそれによって保険会社の業績もかなりの影響をまぬかれないでしょう。いずれにしてもしばらくは様子見を決め込むしかないかもしれません。

ところで、少額短期保険業者も3月末決算を公表しています。

かなりの数の少額短期保険業者の3月末決算をインターネットで取ることができるのですが、生命保険会社のように、統一的に決算発表のフォームを作成し、各社のホームページに開示する、ということにはなっていないので、必ずしもすべての会社の決算発表を見ることはできません。そもそもホームページも見つからない会社もあります。

また、ホームページで開示されている内容も必ずしも統一されているわけではないので、横並びの比較はなおさら困難です。

しかし、ごく大雑把に概略をまとめると、やはり各社ともかなり決算状況は厳しいようです。

火災保険(家財保険)を以前から行ってきた少額短期保険業者や既契約の包括移転を受けて最初から収入保険料が確保されている少額短期保険業者以外はおおむね赤字決算で、今の自己資本でいつまで続けられるんだろう、とか、次の決算までにどれくらい増資が必要になるんだろう、とかの決算が多かったようです。

いずれにしても保険事業というのはそう簡単に儲かる事業ではありません。儲かるまでじっくりと腰をすえてかかるしかありません。もっと簡単に儲かる予定で少額短期保険事業を始めてしまった会社の中には、赤字が膨らまないうちにさっさと見切りをつけて撤退を考えているところもあるようです。

いずれにしても、決算のディスクロージャー資料をホームページに開示している会社もいくつかあります。これからじっくり読んでみたいと思います。

(生命保険アクチュアリー (株)アカラックス代表取締役) http://www.acalax.jp