2009年 6月 29日  inswatch Vol. 465

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【5】保険ウオッチング                    坂本 嘉輝

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悲惨な生保決算と業界動向をみる 

  生保会社の決算は全社、先月末に無事出揃いました。  
   当初みどり生命の発表は6月の終り頃という話でしたが、他の会社と同様、5月末に発表されました。  
   ところで私事ですが、6月に入って急にちょっと目が一部見えずらくなり緊急入院、6月3日から21日まで19日間(20日以上入院に1日足りませんでした)入院し ていました。

  その間6月に入り、アメリカではGMが再生手続きに入り、とは言え将来に向けての方向性は何もありませんから「実質的に再生手続きの下での再度の破綻に向けてスタートした」というところでしょうか。いずれにしてもアメリカもこれから日本のあの「失われた10年」を追体験することになるわけですし、期待のオバマさんも内政・外交とも何もできないという状況のようです。

  ヨーロッパでは東ヨーロッパ各国の地すべり的な経済崩壊に、西ヨーロッパの金融業界がそのまま飲み込まれるのではないかと戦々恐々の状況です。
  
その中で日本では「鳩山の乱」で大騒ぎという、何とものどかな風景です。それ以外ほとんど重要なニュースらしきものはありませんでした。景気も上向きに なりつつあり、アメリカ・ヨーロッパと比べて日本だけこんなに好調でいいのだろうか、と思ってしまいますが、マスコミは例によって日本は大変だ、という大合唱ですね。

  入院中病院ではどうせ暇ですから、今期の生保会社の決算のデータの整理も無事終えることができました。近いうちにセミナーを企画し、ご案内しようと思います。

ライフネット生命の決算発表資料には、生保会社の利源分析の仕組について説明がありますので、見てみると面白いかも知れません(資料4ページ)。
   http://www.lifenet-seimei.co.jp/shared/pdf/LIFENET_disclosure_2008.pdf   
  この説明では各項目の金額は明示されていませんが、実は簡単な虫食算のよう な計算で全項目の金額を求めることができます。パズルのつもりでやってみても 面白いかも知れません。

  ただしここで、保険料収入を純保険料と付加保険料とに分けているのですが、 この利源分析の付加保険料と昨年原価の開示で公表した付加保険料は実は別のも のなのですが、それについては何も説明しないで単に「付加保険料」と言ってしまっているのは、ちょっと不親切かも知れません。

  生保各社の決算の内容はおしなべてかなり悲惨なものです。とは言っても全社 決算発表した(できた)ということは、金融庁がとりあえず「生保会社の破綻は させない」、特に外資系生保について「親会社が破綻しない限り日本の子会社も破綻させない」と決心したのかなという気がします。

  とはいえ、当のその会社にとって破綻しないというだけでは先の見通しが立ち ませんから、保険会社が破綻しない限り既契約者はほっと一息ですが、その会社の社員は大変だと思います。残念ながら私の元いたING生命もその様な会社の一つです。

(生命保険アクチュアリー、(株)アカラックス代表取締役) http://www.acalax.jp