2009年 1月 26日  inswatch Vol. 443

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【5】保険ウオッチング                    坂本 嘉輝

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

生保各社の増資動向ライフネットの予定事業費率公表など

ちょっと遅くなりましたが、明けましておめでとうございます。今年も宜しくお願い致します。

アメリカではオバマさんが大変な人気の中、正式に大統領に就任し、これからはいよいよ夢ではなく現実と向き合うことになります。夢から醒めて現実と向き合ったとき、アメリカの世論はどう動くか、注目です。

といったところで、前回の続きですが、前号で生保各社の最近の増資について、
   ・アイエヌジー     150億円 : 12月29日実施
   ・朝日          350億円  : 12月25日実施
   ・T&Dフィナンシャ   400億円 : 
12月26日実施予定
   ・マスミューチュアル  70〜120億円:11月21日決議
   ・三井          600億円 : 12月29日実施予定
   ・AIGエジソン      605億円 : 11月25日決議
   ・オリックス       100億円 : 11月13日実施
   ・第一生命フロンティア 650億円 : 12月12日実施
と書きましたが、追加として
   ・アリコ           526億円 : 持込資本の追加 11月26日
   ・T&Dフィナンシャル   400億円 : 12月26日に予定通りに実施
   ・三井            600億円 : 12月29日に予定通りに実施
   ・マスミューチュアル 70〜120億円ではなく130億円の増資を12月29日に実施
   ・AIGエジソン    上記の605億円に加え、さらに268億円の増資を12/22に決議
   ・三井住友メットライフ  204億円 : 12月30日に実施予定
   ・住友           1,000億円の永久劣後ローンによる資本調達を1月23日に実施
という状況です。

こうなると本当に、来月半ばくらいに発表される12月末の第3 四半期の報告が待たれます。 ポイントは、このような増資をした結果12月末はどうなったか、ということと、この増資をしなかったとしたら12月末はどうなっていたか、増資をしなかったところは、増資の必要がなかったのか、増資することができなかったのか、という ことです。

資産の劣化のスピードが速いためか、大和生命の決着がなかなかつきません。 とりあえず引受手の最終入札は2月20日になったようです。更生特例法の申し立 てをしたのが去年の10月10日ですから、入札まで4ヵ月以上かかることになります。AIGの事業の売却もなかなか発表されません。その間、資産はどんどん価値が下がり続けているようです。

先週末には損保三社(三井住友海上・あいおい・ニッセイ同和)の統合の話もようやく正式に三社から発表されました。トヨタ、日生とこの統合損保会社の関係がどういうことになるのか、注目です。

ところで、ライフネットが保険料のうちの予定事業費率を公表し、大きな話題となっています。ネットの契約申込が急増しているようです。

この公表した資料では  
  保険料=純保険料+付加保険料となっていて、付加保険料は1件あたり・1ヵ月あたり
  250円+(保険料-250円)の15%+(予定支払保険金・給付金)の3%と説明されています。

この「予定支払保険金・給付金」というのは何のことかよくわからなかったのですが、検算した所これは「純保険料」のことだということがわかりました。  
この結果  
  保険料   =純保険料+付加保険料  
  付加保険料=250円+(保険料-250円)×15%+純保険料×3%
ということになります。

この二つの式から  
   保険料    =純保険料×(1+0.03)/(1-0.15)+250円  
   付加保険料 =純保険料×0.18/(1-0.15)+250円
            =保険料×0.18/1.03+250円×(1-0.15)/1.03
という式が導けます。

9月末の決算報告を見ると、保有契約の1件あたり保険料は、年換算保険料で約50,000円、月払保険料だと約4,000円。上の式で計算すると付加保険料は1,000円弱(1件あたり・1ヵ月あたり)ということになります。

ライフネットは9月までの半期に11億円の経費を使っていますが、これを賄うにはどれくらいの契約件数が必要だということになるでしょうか。応用問題として計算してみて下さい。

ちなみにライフネットの9月末の保有契約件数は、1,418件です(付加保険料の開示により、契約申込が急増し、12月末の保有契約件数は2,712件になっています)。

(生命保険アクチュアリ (株)アカラックス代表取締役) http://www.acalax.jp」