2008年 4月 28日  inswatch Vol. 404

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【5】保険ウオッチング                    坂本 嘉輝

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少額短期保険業者の登録ラッシュと今後

4月7日配信のVol.401で石井さんが「登録期限終了した少額短期保険業」について報告しているように、3月末までに少額短期保険業者の登録数は31社になりました。

共済から移行する少額短期保険業者の場合は、その登録の目標がこの3月末までということだったので、最後になってかなり慌しい登録作業になりました。(この3月を超えても少額短期保険業者登録、特定保険業者からの契約の引継ぎは可能ですが、とりあえず少額短期保険業者の登録が済むまでは新規契約の引受ができないことになっています。)

少額短期保険業者としての登録は、それまでかなり時間をかけ、書類診査等もかなりしっかり行なった上でなされていましたが、この3月末に向けての登録ラッシュはかなり無理矢理の、十分なチェックをしない見切り発車的な登録のように思われます。

登録を受ける側からすると、契約の引受の中断を避けるため財務局が好意的に協力してくれたということになりますが、その分登録が済んだ後での会社の内部体制の充実が、より一層大きな課題となります。内部態勢が十分整わないまま登録ができてしまった会社は、これからその作業と、営業開始あるいは特定保険業者からの契約の移転の作業を同時並行的にしなければいけないので、大変だと思います。

すでに登録を終え営業を開始している会社は、3月末で少額短期保険業者としての決算報告をすることになります(営業を開始していない会社も、3月末までに登録が済んでいると決算報告が必要になりますが、保有契約がなければその分決算報告書作成もちょっと楽になります)。少額短期保険業者とはいえ保険業者としての決算報告ですから、結構手間がかかります。

保険事業は新契約が取れて収入保険料が入ってきて初めて成り立つ事業です。収入保険料が入ってこなくても経費支出は必然的に出ていってしまいます。その結果、純資産がたりなくなったら増資しなければならない(純資産の必要最低限の額は法律で決まっているので、これについては否応なしです)ということになります。

ある程度保有契約が固まって収支が安定するまで、どこまで増資負担に耐えられるか我慢比べということになります。

4月に入って、今の所新規の少額短期保険業者登録はまだないようです。これも3月末の駆け込み登録の結果のようにも思えます。

今後の登録会社数の増加、また決算状況の発表に注目したいと思います。少額短期保険業者も保険会社と同様、決算のディスクロージャー資料の作成・開示が義務づけられています。 >

(生命保険アクチュアリー、(株)アカラックス代表取締役)
http://www.acalax.jp