2007年 8月 20日  inswatch Vol. 368

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【3】保険ウオッチング                    坂本 嘉輝

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保険契約法の見直し

保険に関する法律は二種類あります。

一つは保険事業法で、保険事業を行う保険会社・少額短期保険業者・保険募集人・募集代理店等の業務のやり方に関するルールを定めるものです。具体的には保険業法、という独立した法律が用意されています。

もう一つは保険契約法といって保険会社と保険契約者との間の契約としての保険契約のあり方に関するルールを定めるものです。専門家の間ではこの保険契約法のことを保険法というようですが、保険事業法としての保険業法と区別するためには明確に保険契約法といったほうが良いと思います。

この保険契約法は具体的に独立した法律があるわけではなく、現在は商法の中にその内容が含まれている、という形になっています。

この保険契約法の内容を改正する見直し作業が法務省の法制審議会保険法部会というところで昨年の11月以来14回の会合を開いて行われてきたのですが、ようやく中間試案という形でまとまったものをパブリックコメントに付す、ということになりました。
   
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=Pcm1010&BID=300080023&OBJCD=&GROUP
    =(http:からGROUP=までがページのアドレスです。行が分かれてしまっている場合、ブラウザーのアドレスのところでつなぎ合わせて下さい

この『募集要領』のところに主旨が書いてあります。

『保険法の見直しに関する中間試案』は35ページのものですが、付録の『保険法の見直しに関する中間試案の補足説明』のほうは108ページの大作です。

保険契約の内容は保険約款に規定され、保険会社の事業方法書に規定されていますが、その内容は保険契約法に沿った形で作られ、それに保険会社それぞれの創意工夫、金融庁の指導等が組み合わされて出来上がっています。

通常はその出来上がりの約款くらいしか目にすることはないのですが、この機会に約款の内容のうち、保険契約法に定められているのはどの部分で、そうでないのはどの部分なのか、保険契約法に定められているにもかかわらずそれと違う取り扱いになっているのはどこなのか、確認してみるのも面白いと思います。

今のところ、中間試案、という形でいくつかの項目についての考え方を整理したものをパブリックコメントに付すわけですが、今後、その結果を踏まえて法律自体の作成、国会審議、ということになり、将来の約款改定につながっていくことになります。

お盆休み明けの頭のリフレッシュのために、ちょっとお堅い法律論議など楽しんでみてはいかがでしょう。

中間試案にたどり着くまでのもっと詳細な議論については、今まで14回の法制審議会保険法部会の資料や議事録などで知ることができます。
    http://www.moj.go.jp/SHINGI/index.htmlのページを繰っていくと真ん中くらいのところにある保険法部会のところに各回の資料へのリンクがあります。

また、議論の元となった『保険法研究会取りまとめ』という資料についても 
    http://www.moj.go.jp/SHINGI2/HOKEN/hoken03.pdfにあります。

(生命保険アクチュアリー (株)アカラックス代表取締役)  
http://www.acalax.jp