2007年 1月 29日  inswatch Vol. 339

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【4】保険ウオッチング                    坂本 嘉輝

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保険業界大忙しの1年に

2007年もあっという間に1ヵ月が過ぎてしまいました。今年もあわただしい年になりそうです。

昨年発表された生保標準生命表がこの4月から正式に適用になるのですが、それを待たず、いくつかの会社では新しい生命表を使った新商品の発売を計画しています。

保険料の下げ幅はたいしたことはないのですが、1ヵ月でも2ヵ月でも他社に先行して保険料の引き下げを実行した、という実績作りに励んでいるようです。

従来の死亡率の改定の場合には時期を合わせて一斉に料率改定を行ない、準備に時間がかかって間に合わない会社が遅れてついていく、という形だったのですが、今回の料率改定は早い者勝ち、といいますか、自由化がここまで進んだ、ということでしょうか。

日本の経済も外国の経済もだいぶ回復してきているようで、海外からの新規参入の動きもいくつもあるようです。

以前、ソニー生命を買収するとかしないとか話題になったオランダのエイゴンという会社が改めて日本参入のためにソニー生命と合弁で準備会社を作るようです。      
   http://www.sonylife.co.jp/corp/news/nrpdf/070125kogaisya.pdf

昨年9月に日経新聞に記事が出たフランスのクレディアグリコルも保険会社免許のためにがんばっているようですし、もう何十年も生保免許を取るのとらないのと話だけは断続的に出ているアリアンツも今度は本気なんでしょうか。ほかにもいくつか準備中の会社があるようです。

もちろん海外からの参入だけでなく、いわゆる無認可共済からの生保会社化、生保の少額短期保険会社化もいくつかの候補があります。エキスパートアライアンスも着々と準備中のようです。

今の所無認可共済の保険会社化はまだ少額短期保険業者の登録が1社だけ、もう1社は新規立ち上げの会社で、どちらも損保の少額短期保険業者、ということで、かなりゆっくりしたペースですが、いずれにしても来年の3月という締めきりのある話ですから、今後急激にスピードアップすることが見こまれます。金融庁も締め切りぎりぎりの駆け込みは困ってしまうので、できるだけ早めに折衝をスタートするよう呼びかけています。

ーさらにもっと大きな話の、簡保の民営化もいよいよ具体的になってきます。既存の保険会社としても、競争相手として、同業の仲間として、あるいは自社の販売チャネルのひとつとして、様々な視点からの検討が行なわれているはずです。

そんなこんなで既存の保険会社も新規の保険会社も、監督当局も大忙しの年になりそうです。

今年も充実した一年になりますように願いつつ、本年もよろしくお願いいたします。

(生命保険アクチュアリー (株)アカラックス代表取締役)   
http://www.acalax.jp