2006年 4月24日 inswatch Vol. 299
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【5】保険ウオッチング 坂本 嘉輝
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長期傷害保険の保険料の法人税法上の取扱いが決着
3月末から4月にかけて、生保の営業は大忙がしです。もちろん年度末決算の駆け込み営業もありますが、今年はその他にも営業のルール変更に伴う募集資料の改訂がさかんに行われています。先月取り上げた「重要事項説明」に関するルール変更も、何とか3月末までに必要な書類を間に合わせて4月から対応できるようにした会社、部分的に対応した会社、いまだに何もしていない会社(とりあえず9月までの猶予期間がありますからこれでもOKです)と、様々です。
これ以外にも契約者保護機構に関する記述の変更に対応するものその他、大量の募集資料が差し替えられ、廃棄されていきます。もちろんそのコストは最終的に契約者負担ということになりますが。
ところで、しばらく前から話題になっていた、長期傷害保険の保険料の法人税法上の取扱いが決着しそうです。この長期傷害保険は、長期定期・逓増定期に次ぐ損金・節税型貯蓄保険として人気を博していましたが、その貯蓄性の高さが保険料の全額損金とは不整合だということで、逓増定期なみの【1/4損金算入】ということになりそうです。
今までの全額損金算入に比べると、1/4損金ではいかにもメリットが少ないような気もしますが、この保険の返戻率の高さからすると、これでも十分にメリットのある営業が可能だと思います。税法上の取扱いが明確になればかえって安心 して、今まで以上に販売できるかも知れません。
従来であればこのようなルールについては国税庁の方からお達しがあるのですが、今回のルール改正では、生保協会が新ルールを作り、そのルールにもとづいて処理して良いかどうか国税庁に対してお伺いの手紙を出して、国税庁から正式に回答してもらうという形になるようです。
この長期傷害保険の税制上の取扱いが明確になることにより、残るはガン保険ということになります。このガン保険もすでにいくつもの会社で商品が用意され、同じような損金・節税型貯蓄保険として販売されています。ガン保険の保険料の損金扱いはいつ頃変わるのでしょうか。今までこのようなガン保険を取扱ってこなかった保険会社も、この期に及んで長期傷害保険の代替商品として取扱いを始めるのでしょうか。
日本の景気もようやく本格的に改善しているようです。企業の利益が増えてくると、節税マーケットも拡大が見込まれます。このマーケットに対する各社の戦 略に注目していく必要があります。
(生命保険アクチュアリー、(株)アカラックス代表取締役)
http://www.acalax.jp