2005年 5月 23日  inswatch Vol. 251

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【3】業界ウオッチング                    坂本 嘉輝

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「少額短期保険業者」のルール化

  既報のように、無認可共済を保険業法の規制下に置くための保険業法改正案が国会で可決成立しています。   国会での可決を受けてこれから細かい部分について保険業法施行令、施行規則の改正が行なわれることになるのですが、その一部について、国会での質疑の中から金融庁の方針がわかってきています(議事録をインターネットで読むことができます)。
   もちろん最終的に施行令、施行規則の改正が公表されるまでは確定ではありませんが、来年4月(と思われる)の改正保険業法の施行に向けて早めに準備するために役に立つ情報です。

新しい法律では少額短期保険業者、という形の保険事業が開始されますが、それに関して    
   ・生命保険・医療保険については保険金額の上限を数百万円として保険期間は1年以内、   
   ・損害保険については保険金額の上限を一千万円として保険期間は2年以内、   
   ・生損保の兼営は禁止しない、   
   ・積立型の商品は取り扱えない、   
   ・事業の規模は収入保険料で50億円程度まで、   
   ・供託金は最低一千万円で事業規模によりさらに上乗せする  
という形になりそうです。

  また、保険業法の適用除外となる小規模保険事業の条件は、1,000人以下、ということになりそうです。    
  マルチ商法だからといって保険会社・少額短期保険業者になるのは排除しないが、募集人の教育・管理できちんと規制する、ということです。

  少額短期保険業者も保険会社と同様、事業方法書・約款・算出方法書を用意しなければならないのですが、事業方法書・約款については保険会社と同様の事前審査、算出方法書(たとえば保険料率)については保険計理人の確認が行なわれていることのみを事前チェックして事後的に問題があれば是正する、ということです。

  来年の4月まで、そのあと半年間、あるいは2年間、と時間的に余裕があるようにも思われますが、シナリオによってはそれほど余裕がないかもしれません。
   ・保険業法が変わる前に保険会社になってしまう
   ・保険業法が変わった途端に保険会社、あるいは少額短期保険業者になる手続き をする 
   ・とりあえず特定保険業者の届出をして、2年の期間内にじっくり方向性を検討する 
等々のシナリオのどれを選択するか、同時に事業売却・買収・合併、様々な合従連衡の動きにどう対処するか、様々な可能性についてそれぞれの共済事業者が検討する必要があるかもしれません。     
   これを好機に新規の保険事業の立ち上げの動きも出てきています。

(生命保険アクチュアリー、(株)アカラックス代表取締役)
http://www.acalax.jp