2005年 3月 21日  inswatch Vol. 242

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【4】業界ウオッチング                    坂本 嘉輝

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業務停止命令および保険業法改正案

明治安田生命に対する業務停止命令が出ました。
http://www.fsa.go.jp/news/newsj/16/hoken/f-20050225-1.html    
話の中身は保険金の支払いを節約するためにかなり無理な理屈をつけて支払いを拒んだ、ということのようです。その結果、16億円程度の不払いとした保険金の支払いと、それをはるかに上回る宣伝効果(プラスであれマイナスであれ)を無料で手に入れた、ということのようです。

2週間の営業停止、といいながらそこはきちんと計算されていて、新契約が集中する月末の時期はちゃんとはずして、3月4日から17日までの営業停止ですから、もう営業停止は解除されているはずです。元々日経新聞でスクープとして報道されたのが2月18日、もうその日のうちに明治安田生命の社長が記者会見 をして頭を下げてしまったのに、業務停止命令が出たのが2月25日、業務停止自体が3月4日から17日まで、ということですから、懸命に時間稼ぎをして月末を避けているのがよく分かります。

生命保険の保険料というのはそんなに無理をしなくても、払うものは払ってしまっても絶対損をしないようになっているのですが、そのあたりがどうもよく理解されていなくて支払いを拒むことができる場合にはできるだけ支払わないのが正義だ、というような感覚が保険会社にはあるようです。

そんな中、いよいよ無認可共済を保険業法の規制下に置くための保険業法改正案が国会に提出されました。
http://www.fsa.go.jp/houan/162/hou162.html

やはり法律案になると、その元となった金融審議会の報告書でははっきりしなかった点がかなり明瞭になります。

法律案自体でA4で150ページ、新旧対照表で200ページというかなりの分量のものですが、読んでみるとなかなか面白い内容になっています。

不特定の相手を対象とするのが保険業、特定の相手を対象とするのが共済、という区分けがなくなってしまうので、今後は特定の相手だけを対象とするから保 険業法は関係ない、とはいえなくなります。

根拠がいまいち不明瞭だった、会社が社員を対象に、あるいは労働組合が組合 員を対象に行っている共済が晴れて明確に保険業法適用除外の合法的な無認可共済という事になります。 一度きちんと整理して、機会があれば改めて解説したいと思います。

(生命保険アクチュアリー (株)アカラックス代表取締役)
http://www.acalax.jp