2004年 12月 20日  inswatch Vol. 229

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【3】業界ウオッチング                    坂本 嘉輝

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金融審の無認可共済に関する報告書

12月14日金融審議会金融分科会第二部会が開催されました。
http://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/siryou/kinyu/dai2/f-20041214_d2sir.html   

今回は盛りだくさんな部会で、無認可共済・契約者保護制度見直し・損保のセーフティネット・銀行の代理店制度について議論されたようで、その結果無認可共済と契約者保護制度見直しについて報告書が出されました。
http://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/siryou/kinyu/dai2/f-20041214_d2sir/a.pdf http://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/siryou/kinyu/dai2/f-20041214_d2sir/b.pdf

この無認可共済に関する報告書による規制案では、無認可共済を3つに分けます。

ひとつはその共済の対象となる人が「真に限定されるもの」(たとえば会社が社員などに対し、あるいは労組が組合員に対しなど)を限定列挙し、それはそのまま無認可共済にとどめる事ができます。

次はそれ以外の無認可共済のうち、保障額が少額で期間も短期のものを少額短期保障事業者という名前で保険業法の規制の対象とします。保険会社のような免許制とはしないで登録制にしますが、様々な面で保険会社と同じような仕組みを用意しなければならなくなります。

第3は無認可共済を保険会社へ移行させる、というものです。移行をしやすくする特別取扱が用意されます。

いずれにしても今回の問題の本質は、無認可共済という名前の無免許保険事業と、不特定の人を対象とする認可共済という二つの保険事業の存在ですが、この法律では現行の法律上すでに違法である無免許保険事業は今でも存在しないことになっていますし、この二つの問題は実質的にそのまま残ることになります。また無認可共済というちょっと後ろめたい存在をこの際比較的簡単に晴れて保険会社に組織変更することができるかも知れないということで、大喜びする無認可共済も多いかも知れません。

報告書はかなり読みにくいものですが、読んでみてください。また審議会の資料の方には新しい枠組み・移行措置に関する図による説明もついています。この方が分かりやすいかも知れません。

(生命保険アクチュアリー、(株)アカラックス代表取締役)
http://www.acalax.jp