2004年 9月 20日  inswatch Vol. 216

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【4】業界ウオッチング                    坂本 嘉輝

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エンベッデッドバリュー

私の会社、アカラックスでは毎月1回、保険の代理店やFP、保険会社の社員、マスコミ、その他の人々を対象にセミナーを開催しています(正確には代理店の人たちを主な対象とするセミナーに保険会社の社員その他の人が参加している、ということですが)。

今月のテーマはEV(エンベッデッドバリュー)。欧米の保険会社(特に生命保険会社)ではあたりまえの内部管理会計の手法になっており、内部管理会計にとどまらず、外部に開示してその保険会社、保険事業の価値および期中の付加価値を公開しているものです。

日本では大同生命、太陽生命が株式会社化に伴いその開示を始めたものの、他の会社がこの開示をするのはまだまだ先のことだろう、と思っていたのですが、セミナーの準備で実際調べてみたところ、今期2004年3月期の決算で年度末EVを開示している会社がもう既に7社にもなっていました。

今のところ開示しているのは、損保会社の生保子会社である
 ・東京海上日動あんしん生命
 ・損保ジャパンひまわり生命
 ・三井住友きらめき生命
 ・あいおい生命
の4社と、T&D保険グループの
 ・太陽生命
 ・大同生命
 ・T&Dフィナンシャル生命 の3社です。  

ひょっとすると予想よりかなり早くこのEVの計算、開示が日本でも一般的になるかもしれません。何せ日本は横並びの国ですし、開示しないのは『計算することもできないのか』とか『開示できないほど中身が悪いのか』などと勘ぐられることにもなりかねないですから。  

破綻処理・合併・買収・株式会社化等を経験した会社はその過程でEVと同様の価値評価を既に経験していますので、ハードルはそれほど高くないでしょう。外資系の会社は既に親会社には内部的に報告しているでしょうし、日本社の旧大手はもちろん、内部的には試行を終えていることと思います。  今のうちにそれがどんなものなのか、見てみてはいかがでしょう。EVとは何か、どのように計算してどんな役に立つのか、という解説を東京海上日動あんしん生命が提供しています。   

エンベディッド・バリュー補足説明資料開示  
http://www.tmn-anshin.co.jp/news/h14_ev_supp.pdf  

また、上記各社のEVの開示は各社のホームページからニュースリリースを探すと見つかります。  もしよかったらアカラックスセミナーのビデオも、ビデオテープあるいはDVDで用意できます。         

(生命保険アクチュアリー、(株)アカラックス代表取締役 http://www.acalax.jp)