2004年 5月 24日  inswatch Vol.199

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【4】業界ウオッチング                    坂本 嘉輝

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3月31日の金融審議会第2部会議事録から見えるもの

RINGの会では、毎年会員以外の参加も募ってオープンセミナーを開催しています。今年は6月12日(土)に横浜で行なわれますが、そのテーマは今話題の「銀行による保険の窓販」です。

◇会議の様子、対立鮮明に示す  

そのセミナーに合わせるかのように、この問題に関する報告書をまとめた金融審議会金融分科会第二部会の3月31日の会議の様子をとりまとめた議事録が発表 されました。
http://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/gijiroku/kinyu/dai2/20040331_roku. html  

これとすでに発表されている報告書自体
http://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/siryou/kinyu/dai2/f-20040331_d2si r_2.pdf
と併せて読んでみると現状が理解できると思います。結論から言うと、委員がそれぞれ反対の方向を向いていて、その反対がちょうどつり合っているので報告書が了承された、ということです。  

委員全員異議なしで報告書は採択されていますが、議事録の中ではみなさん反対意見を主張しています。推進派と反対派との双方が報告書の中身に反対していながらの異議なしですから現実がどのように進行するか、誰にもわかりません。

◇報告書の結論をどう解釈するか  

報告書の結論は「銀行等において原則としてすべての保険商品を扱えるようにすることが適当であり、その際には適切な弊害防止措置が講じられることが前提となる」という文章です。  

ある人は前段の「すべての保険商品を扱えるようにすることが適当である」という所が結論で、後段の「弊害防止装置」の所は単なる附帯条件のように解釈しています。  

またある人は後段の「弊害防止措置」が何よりの大前提で、これが完全に満た されなければ窓販拡大は一切駄目というように解釈しています。

◇消費者視点からの警鐘  

inswatchでもお馴染みの高橋伸子さんも、いつもながらするどい指摘をしてい ます。

「(銀行による)乗換えセールスがさかんになるのではないか」 「保険会社が消費者利益をないがしろにして、販売業者(銀行)の利益を優先す るのではないか」 「保険会社と銀行が結託して消費者を裏切るのではないか」  

これに正面から答えるのは並大抵のことではありません。  

保険商品の銀行窓販の議論の本質を理解するために、またオープンセミナーの予習の意味で、是非一度目を通しておくことをお勧めします。         

(生命保険アクチュアリー、(株)アカラックス代表取締役)