2004年 3月 22日  inswatch Vol.190

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【2】業界ウオッチング                    坂本 嘉輝

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保険の銀行窓販攻防の行方

◇「金財」が銀行の窓販を特集  

週刊「金融財政事情」、通称「金財」が前号で「生保ALM」を特集のテーマ として取り上げたのに引続き、最新号では保険の銀行の窓販を特集のテーマとし て取り挙げています。
<週刊「金融財政事情」 3月15日号 「特集 保険窓販全面解禁の争点」
http://www.kinzai.com/magazine/kinzai/040315.html >  

銀行側の主張を銀行に都合の良い所だけを集めてうまくまとめた記事をマッキ ンゼーが書いています。生保側の主張はある生保会社の人と第一生命経済研究所 の人がまとめています。両方の主張を読み較べてみると参考になります。

◇金融審議会での議論  

このテーマは年明け早々に金融審議会での議論が始まって以来この紙面でも何 度も取り上げられてきましたが、先週ようやくその金融審議会での議論の内容が 発表されました。
<http://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/gijiroku/kinyu/dai2/20040116_ro ku.html  
金融審議会金融分科会第二部会 第15回会合議事録>

◇年中行事の「先送り」と消費者利益の実現の方向  

お馴染みの高橋さんはいつものように厳しい指摘をしています。 <銀行による保険販売や構成員契約規制の件は、昨年3月に規制緩和推進3か年 計画の中で示されている課題ですが、さかのぼりますと、毎年3月に年中行事の ように先送りされてきていると私は認識しています。  

私は保険に関する検討をしていく上で大事なことは、消費者利便ではなくて、 消費者利益の実現の方向を目指すべきだと考えているのですけれども、「消費者 の利便性」についてどのようにお考えなのか、お伺いしたいと思います。>

◇生保業界の反対の論理  

生保業界は大々的な反対運動をしているようです。  その主張をうまくまとめた文章を岩国哲人さんが書いています。
<http://www.nnn.co.jp/essay/sansyu/essay0403.html#01 「銀/保は分離を」>

◇政治決着で「先送り」か  

やはり高橋さんの言うように今回も先送りということになるのでしょうか。  

いずれにしても参議院選挙を控えているので自民党は生保の言い分を聞かない わけにはいかないでしょうから、これはもう勝負は最初からついていたことかも しれません。(生保のオバチャンパワーは特に選挙前の政治家には大変な影響力 があります。)  

当初3月中に結論を出すと言っていたのは少なくとも先送りされ、4月以降も 議論が続けられるようです。あまりにも短時間で先送りを決めてしまうのはミッ トモナイということでしょうか。         

(生命保険アクチュアリー、(株)アカラックス代表取締役)