2004年 2月 23日  inswatch Vol.186

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【5】業界ウオッチング                    坂本 嘉輝

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三井生命の株式会社化への異議申し立ての結果

◇異議申し立ての結果  

三井生命の株式会社化に対する契約者からの異議申し立ての結果が発表されています。
http://www.mitsui-seimei.co.jp/corporate/news/pdf/20040217.pdf
(組織変更(株式会社化)に対する契約者からの異議申し立ての結果について)  

結果は件数、金額ともに異議申し立てをしたのは10万分の1弱、ということ で株式会社化は無事に予定通り行なわれることになりました。  この株式会社化(案)の問題については昨年12月1日付inswatch174号で 「生保会社の中間期報告と三井生命の株式会社化」とのテーマでコメントしましたが、他に代案もない以上、契約者も積極的な反対も出来ない、ということでし ょうか。  

これを見る限り、保険金額の削減(いわゆる予定利率の引き下げ)をしようと する会社が今後出てきたとしても契約者の異議申し立ては成立しそうにない、ということがよくわかります。

◇韓国と台湾  

先々週、先週と韓国、台湾にセミナーの講師として出張し、それぞれの国の事情を見聞きする機会に恵まれました。生保会社の破綻処理に関してどちらの国も日 本の事情に非常に強い関心を持っていますが、それぞれの国の対応もなかなか興 味深いものがあります。  

韓国では既にいくつもの会社が破綻していますが、その破綻処理の方法は、債務超過を公的資金で穴埋めし、債務超過がなくなった状態でどこかの会社に強制的に引き受けさせる、という方法です。破綻処理に使った公的資金は事後的に生き残った保険会社に強制的に分担させるので最終的には公的資金は全額回収される、 ということのようです。いかにも韓国らしい、スピーディーで苛烈なやり方です。  

台湾では今まで保険会社の破綻はないけれど、市中金利の低下という、バブル 後の日本と同様な状況になっており、いずれは破綻が避けられないかもしれない、 ということで準備が始まっています。日本の契約者保護機構と同様な組織を作っ て資金拠出をはじめたけれど、今の所積立金はまだ微々たるものなので、実際に 破綻が起こったときには破綻処理に必要な資金をどのように手当てしたらいいだろうか、ということのようです。  

三井生命については時折ニュースがありますが、他の会社についてはニュースもありません。  

月末に向けて、イラク、北朝鮮、為替、金利、日本の大手銀、と不確定、不 安定要素は盛りだくさんです。2ヵ月後くらいにはどのような記事を書くことになるのでしょうか。         

(生命保険アクチュアリー、(株)アカラックス代表取締役) http://www.linkclub.or.jp/~lax